来年1月に任期が切れるNHKの松本正之会長(69)が、政財界からの「NHKは偏向している」といった批判の打ち消しに躍起になっている。今夏には松本氏の指示で、原発問題や領土問題で公平・公正を守るNHKの報道姿勢を明文化した対外資料を初めて作成。松本氏の動きについて事実上の「続投意欲の表明」との観測も広がっている。 「放送の公平・公正について」と題したA4判の資料では、「(公平・公正を)原則として、個々の番組でとる努力」の必要性を強調。原発問題について「特定の立場に立つようなことはあってはならない」、尖閣諸島(沖縄県石垣市)、竹島(島根県隠岐の島町)問題については「日本の領土であるとの立場を明確にし、機会あるごとに日本の立場を発信」するとしている。 松本氏はこの資料を幹部に配って徹底を呼びかけ、会長任命権を持つ経営委員会や、政府関係者への説明にも活用しているという。