<湯川順夫・戦争ホーキの会> そもそものきっかけは、訳者湯川が仏語新聞紙上に、偶然見つけた絵本の書評でした。その著者デイディエ・デニンクスはフランスの推理小説大賞を取ったこともある作家で、受賞作『記憶のための殺人』は、1961年10月パリで起こったアルジェリア人のデモに対する大規模な弾圧を題材にしています。アルジェリア人の犠牲者数など、今なお真相が知らされていない、この事件の謎の解明に挑戦した著者が、新たに “絵本”を書いたということに興味をひかれたのです。早速原書を注文、入手して読んでみると、タイトルの「父さんはどうしてヒトラーに投票したの?」という主人公の少年が発した問いは、過ぎ去った時代のものではなく、まさに今日の世界に生きる私たちにも問いかけられていて、この絵本をぜひ日本の読者に紹介したいと思いました。 今、世界では、第二次世界大戦後の民主主義と社会福祉の時代が深刻な危機を迎えてい