「水に落ちた犬を叩く」とはこのことかもしれない。 四半期ベースで赤字に転落した2008年。スターバックスは、顧客からの厳しいバッシングに見舞われていた。 「店は水を無駄に使っている」「コーヒー農家を搾取するな!」「出店されると、町の雰囲気が台無しになる」 インターネット上に書き込まれたスタバ批判の声は、瞬く間にネット上を駆け巡った。 どうすれば顧客の信頼を取り戻せるのか――。 再び経営の最前線に戻ったハワード・シュルツCEOは、抜本的なスターバックス改革に乗り出そうとしていた。そうしなければ、会社はこのまま奈落の底に落ちてしまう。 反撃の狼煙が、2009年にオープンしたこの店だった。 「1st and Pike Store店」。米ワシントン州シアトルのスタバ1号店から程近い場所に開店した。その店には、全てのバッシングに対する「回答」とも言える取り組みが詰まっていた。 2011年2月。記者は