『殺人蝶を追う女』 原題:살인나비를 쫓는 여자(1978) 英語題:A Woman After A Killer Butterfly 韓国映画史上屈指の怪作。先頃リメイク版が公開された『下女』(1960)をはじめ、強烈な作品群を世に残した鬼才キム・ギヨンのフィルモグラフィの中でも、最も難解かつ奇怪な内容といわれている極めつけの一本だ。約1ヶ月という短期間で撮り上げた即席企画だったため、監督本人もまるで中身を覚えていなかったというが、それだけに彼のいびつな作家性が精査されずダイレクトに表れた映画ともいえる。「キム・ギヨン作品の中で最もグロテスクで、最もB級ジャンルムービーに近づいた作品」というのは、ポン・ジュノ監督の言である。製作を手がけたのは『娼婦物語/激愛』(1982)などの監督としても知られるチョン・ジヌ。本作は彼が監督あるいはプロデュースした『カッコーの啼く夜/別離』(1980)や