深浦加奈子が亡くなった。享年48歳。命を奪ったのは、癌であった。5年前に癌が見つかり、それからの5年間は闘病しながらの役者生活。晩年には癌が肺に転移していたという。最後の仕事が原爆のドキュメンタリーのナレーションで無理をおしての出演であったというエピソードが泣かせる。 数々のドラマに出ている女優さんだが、私が印象に残っている役柄は「私の青空」での利根川千代子役である。故郷で結婚し、平穏に暮らそうとしている男を結婚式場から強引に連れ去り、くすぶっていたボクサーの夢をかなえさせるために共に渡米。逃げられた男を追ってきた婚約者のなずな、彼女のおなかには彼の子供がいたのだが、彼が必ず帰ってきてくれることを信じ、母親になっていた、の非難を背中に受けながら、健人にチャンピオンを取らせるためにひたすら尽くす女を演じた。 所謂、物語の発端を作った人で、悪役になるのだが、内館牧子はそう描かず、好きな男の夢を