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ブックマーク / arisan-2.hatenadiary.org (8)

  • 『三ギニー』 - Arisanのノート

    三ギニー (平凡社ライブラリー) 作者:ウルフ,ヴァージニア 平凡社 Amazon ヴァージニア・ウルフの『三ギニー』は、第二次大戦前夜である1938年の状況下に、反戦をテーマとしてフェミニズム的な立場で書かれた傑作だ。これを評論と呼ぶべきか、フィクションと呼ぶべきかは分からないが。 ウルフは、この10年前に、やはりフェミニズムの先駆的な作品として名高い『自分ひとりの部屋』を書いているが、それと比較すると、個人主義的・資主義内部的な解の提示から、社会変革的・反資主義的といってよい視点への移行、いや深化がうかがえると言ってよいであろう。この変化は、たとえば次の一節によくうかがえる。 『もしも国家があなたがたのに対し、その労働に見合った生活費を支給するなら(中略)、もしも彼女の自由にもましてあなたがたの自由に欠かせないこの手段が講じられたなら、職業男性が現在しばしば飽き飽きしながら、自分

    『三ギニー』 - Arisanのノート
  • 橋下発言が露呈させたもの - Arisanのノート

    慰安婦問題、風俗業をめぐる橋下氏の発言要旨(朝日新聞デジタル) http://www.asahi.com/politics/update/0514/OSK201305130144.html 今回の橋下の発言を最初に知った時、まず思ったことは、この言葉自体がひとつの凶悪な暴力であり、元「慰安婦」の人たちはもちろん、性暴力や差別を被ってきた人たちにとっては、セカンドレイプに等しいものだろうということだった。 そして、そんな暴力が許容されるどころか「口外しないほうがよい音」として暗に肯定されてしまうという、この僕らの社会の醜悪さを、彼の発言に同調もしくは黙認する者たちの言動(例えば「不用意な表現は国益を損う」!)を介して、橋下発言は被害者達を含む我々のすべてに突きつけた。 この意味で、この暴言の(暴露的であると同時に)脅迫的な効果は二重なのだ。 橋下は、日が「レイプ国家」呼ばわりされることを

    橋下発言が露呈させたもの - Arisanのノート
  • 橋下発言と日本の性差別 - Arisanのノート

    http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130516/waf13051611240010-n1.htm 日維新の会共同代表の橋下徹大阪市長は15日夜、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の司令官に米兵の性的欲求の対応策として風俗業の活用を進言したことに関し、記者団から市職員のわいせつ事件の抑止対策として風俗業の活用が有効か問われ、「僕は(有効策に)なり得ると思う」との見解を示した。 橋下氏は「何の罪もない人のところに行くくらいだったら、認められている範囲のところでちゃんとしなさいよ、というのが来のアドバイス」と述べた。 すべて性労働を消費する人は、それが法的に認められたものであろうとなかろうと、他人の性的身体を商品として扱って自分の欲望を満たしているという点で、倫理的には何がしか不正義であることを免れないはずである。しかもそれが、社

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  • 『セデック・バレ』 - Arisanのノート

    GW中に台湾映画『セデック・バレ』を見たので、ここにも感想を書いておきたい。 http://www.u-picc.com/seediqbale/ まず何といっても感銘を受けたのは、台湾映画人たちが、山岳地帯に住む原住民(台湾の先住民族の人たちは、誇りをもってこう自称すると聞いたので、あえてこの語を用いるが)たちの歴史を正面からとりあげて、このような大作を製作したということだ。 社会のマジョリティが自己の歴史を語ろうとするのでなく、マイノリティの経験の苦難を想像することに力を注ぐ。 台湾の先住民政策は、とくに民進党政権のもとで飛躍的に進展したと聞いているが、それは「他者」の歴史と向き合うことで自分たちの社会をより開かれたものにしていこうとする、真に民主主義的な努力の現われであるのだろう。いまだに、こうした努力を行なっているというより、まったく逆方向に進みつつある日の社会とは、この点におい

    『セデック・バレ』 - Arisanのノート
  • 甘かった予断 - Arisanのノート

    これまで、自分のなかに多少は、こういう思いがあった。 安倍政権が改憲に向かって突っ走り、国内への統制を強めると共に、軍事力の増強を加速させ、周囲の国々との緊張関係を高めていった場合、それはどこかでアメリカの国益やアジア戦略と齟齬をきたすようになるであろう。 アジアの安定を壊すということもそうだし、また改憲によって名実とも「人権制限国家」を標榜するに至るなら、それは特にアメリカ民主党政権の「人権外交(戦略)」とも折り合わないだろう。だから、やがてはアメリカの政権と安倍自民党政権とは衝突し、それが極右化の一定の歯止めになるであろう、と。 だが考えてみると、これはあまりにも甘い予測だったと思う。 たしかに、そうしたことも考えられないわけではないが、アメリカにとっての日という存在は、結局、アジアにおけるもっとも使いやすい「駒」ということだ。その「駒」を対立によって失う危険を冒してまで、アメリカ

    甘かった予断 - Arisanのノート
  • 不実な休暇 - Arisanのノート

    橋下市長、休暇だったので…元慰安婦に「直接聞く」 http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/120925/waf12092513060022-n1.htm 橋下徹大阪市長は25日、自らの慰安婦に関する発言をめぐり、「慰安婦だった方が僕に言いたいことがあれば直接聞く。日程が合えばお会いしたい」と述べ、面会する意向を明らかにした。橋下氏はこれまで「慰安婦が軍に暴行、脅迫を受けて連れてこられた証拠はない。あるなら韓国にも出してほしい」などと発言していた。 市民団体「日軍『慰安婦』問題・関西ネットワーク」のメンバーと韓国から来日した元慰安婦の女性が24日、橋下氏に謝罪を求めるため市役所を訪れたが、休暇をとっていた橋下氏との面会は実現しなかった。 金福童ハルモニが橋下市長に会うため、この日に大阪市役所を訪問するということは、一週間前から連絡を入

    不実な休暇 - Arisanのノート
  • ニコンよ、恥を知れ - Arisanのノート

    こうして詳しく話を聞いてみると、いかに酷い話かがよく分かる。 Fotgazet通信・問われる表現の自由〜ニコンサロン写真展中止事件 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node%2F1382 ニコンが、掲示板での書き込みや、もしくはそれ以外の何らかの圧力を受けて自分たちの決定を覆し、写真展を中止にしたというのは間違いないところだと思うが、それを正当化するために、「政治的な表現だから展示させない」と言っているのだという。 自分たちのいわば都合で、一度は自分たちが決定して企画した表現の場を潰しておきながら、その理由をなかなか明らかにしようとせず、司法の場に持ち込まれてやっと表明したと思ったら、まるで「(ニコン自身によって)被害を受けた側」(つまり安世鴻さん)に非があるかのように言い出す。 ここには、「慰安婦」問題が日において周縁化されてきた主たる理由である、日の企

    ニコンよ、恥を知れ - Arisanのノート
  • 虚構の力 - Arisanのノート

    はじめての「黒人の大統領」の誕生だと言われる。 この表現自体妥当かどうか分からず、「アメリカ社会での人種的マイノリティからはじめての大統領が誕生した」ぐらいの表現が適当かもしれない。もちろん、それ自体たいへんな意義をもつことだろう。 また、オバマ自身は「有権者は人種の壁を越えて変革を選択した」というふうに言ってるようだが、アメリカに黒人の大統領が誕生すること自体、「変革」の何よりの象徴になるだろうから、その面ではオバマの人種上の属性が有利に働いた、と言えるかもしれない。 そんな風に言っても、オバマの勝利演説の集会に来て涙ぐんでいる、肌の色の黒いおっちゃんやおばちゃんを見ると、他人事とはいえ、胸が熱くなることも確かだ。 これはひとつには、そこに「黒人である人」たちの個人史、家族史、民族史のようなものに関わる思いが込められていることを感じるからだろう。そういう思いをしてきた他人たちの感情を想像

    虚構の力 - Arisanのノート
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