午後から、東大国語国文学会の公開シンポジウム「一次資料から考える」を聴きました。コロナ以来オンラインでしたが今年は対面のみ。構内はむせ返るような若葉の匂いです。 講師は堀川貴司(日本漢文学)、光延真哉(歌舞伎)、石山裕慈(国語学)、司会は近代文学の河野龍也、出席者は100人弱、大半が30~40代でもう知らない顔ばかり。河野さんは、佐藤春夫が戦時中に書いた原稿には北京に日本人が侵攻したことそのものが戦禍だとあったが、掲載誌が見つかってみるとその箇所はなかったという話をしました。 堀川さんは話し方も内容も分かりやすく、シンポ向き。五山文学資料を例に、一次資料でないとわからないこと、近年の研究動向、二次資料の拡大、普及を挙げて、それぞれの問題点を述べました。光延さんのパワポはよく出来ていて見栄えがしました。歌舞伎台帳(いまで言う台本)は、書き換えられるものなので、一次資料で見ると舞台上の創作過程
オスロ大学図書館のデジタルサービス オスロ大学図書館(University of Oslo Library):マグヌスセン矢部直美(やべなおみ) 1. はじめに 近年、学術全般で使われるようになったデジタル手法は実に幅広い。例えば、様々なプログラムを使い大量のテキストや数値データを基に言語の変化や文学表現の推移を分析したり、古い時代のテキストにある地名や古地図に見られる地名を地図上で重ねて現在と比較したりといった研究が挙げられる。これらはオープンサイエンスの動きとも綿密に繋がっており、将来に向けて学術活動を行う上で、研究者も研究を享受する側も避けて通ることのできないものである。ここでは、オスロ大学(ノルウェー)の図書館で近年発足したデジタル関係学術サービスについて報告する。 2. オスロ大学図書館DSC オスロ大学のDigital Scholarship Centre(1)(DSC)は2年
俵屋宗達筆 扇面散図屏風 Freer Gallery of Art, Smithsonian Institution, Washington, D.C.: Gift of Charles Lang Freer, F1900.24 特定非営利活動法人京都文化協会とキヤノンが、京都・大本山建仁寺で特別展「スミソニアン国立アジア美術館の名宝 ~高精細複製品による里帰り~」を開催する。会期は10月13日~11月3日。 本展は米国のスミソニアン国立アジア美術館の開館100周年イベントと連動したもの。同美術館の所蔵作品は、設立者の遺言により門外不出とされているため、現地を訪問しない限り、鑑賞することができない。今回展示する18作品は、こうした門外不出の日本美術の高精細複製品となる。 狩野元信筆 四季花木草花下絵山水図押絵貼屏風 Freer Gallery of Art, Smithsonian Ins
「スミソニアン国立アジア美術館の至宝〜高精細複製品による里帰り」と題されたこの展覧会は、その名の通り国立アジア美術館が所蔵する日本美術の優品の高精細複製品を展覧するものだ。このプロジェクトは、キヤノンと京都文化協会が行っている文化財の継承プロジェクト「綴プロジェクト」の一環として行われている。しかしなぜ「高精細複製品」の展示なのか? その背景にあるのは美術館の方針だ。 国立アジア美術館はアメリカ初のアジア美術専門のミュージアムであり、実業家チャールズ・ラング・フリーア(1854〜1919)が蒐集した7500点のコレクションをスミソニアン協会に寄贈したことがきっかけとなり、1923年にフリーア美術館として開館した。現在はフリーア美術館とアーサー・M・サックラー・ギャラリーで構成されたものを国立アジア美術館と称している。 同館は日本美術の豊富なコレクションで知られ、約1万5000点にも及ぶ作品
Googleブックスプロジェクトの歴史とその影響<文献紹介> 公立図書館員・杉本啓輔(すぎもとけいすけ) Marcum, Deanna; Schonfeld, Roger C. Along Came Google: A History of Library Digitization. Princeton University Press, 2021, 214p., ISBN:978-0-69117-271-2. 本書は,米国の非営利団体Ithakaの調査部門Ithaka S+Rのマーカム(Deanna Marcum)氏とションフェルド(Roger C. Schonfeld)氏により執筆されたGoogleブックスプロジェクト(以下「プロジェクト」)に関する単行本である。Googleブックスとは,2004年から始まった,Googleが提供する書籍の全文検索サービスである。書籍内の全文を対象に検
国内で発行される全ての出版物が集められる国立国会図書館(東京都千代田区)が、蔵書のデジタル化を進めている。本や雑誌・新聞のほか地図やCD、DVDもあり、所蔵資料は4600万点を超える。だが、そのうちデジタル化されているのは今年3月現在、6%。古い資料を中心に約281万点にとどまる。 その国会図書館のデジタル化の一部を障害のある人たちが担っているという。なぜなのか。背景を聞いてみると、障害者が働いて得られる賃金が驚くほど低いという事情があった。現場を訪ねてみた。(共同通信=市川亨) ▽「未来に残る仕事」 東京都東村山市にある工場のような建物。中にある一室のドアを開けると、黒い布で仕切られた暗室が並ぶ。そこには、ちょっと変わったスキャナーとパソコン。本を広げて黙々と作業する人たちがいた。 ここは障害者が通って働く作業所「コロニー東村山」。スキャンをしている人たちも障害者だ。そのうちの一人、吉田
スマートニュースは7月1日、国会の過去20年分以上の議案データ約1万8000件を収集・整理し、オープンデータ化した国会議案のデータベースを、GitHubで無償公開(衆議院、参議院)した。GitHubを利用しない人向けに、閲覧用のWebページ(衆議院、参議院)も公開した。 国会で審議された法案や予算案、条約、決議案といった議案は、衆参両議院のWebサイトに掲載されている。提出者や審議された委員会、賛成・反対した政党(衆院のみ)などの情報も確認できるが、国会の回次ごと、また議案ごとにページが分かれているため、集計や検索、一覧が難しかった。 今回、同社の「メディア研究所」が、各議案のページに掲載されている情報を収集、整理し、CSVファイルとJSONファイル形式で公開。MITライセンスに準拠し、商用・非商用を問わずオープンデータとして誰でも無償で使えるようした。 主に報道機関や研究者に、選挙報道や
ページをめくる音、シャッターを切る際の「ピッ」という音がフロアに響く。「三井倉庫ビジネスパートナーズ」では、多い日で120人ほどがスキャニング作業に当たるという =東京都港区(川口良介撮影) 膨大な資料をデジタル化して後世に残そうと、日本唯一の国立の図書館「国立国会図書館」(東京都千代田区)で作業が進んでいる。 4500万点を超える蔵書のうち希少なものや劣化したものなどを優先して着手。始めたのは平成12年からだが、令和3年度は大規模な補正予算を組み、図書だけで約30万冊分をデジタル化した。 作業が加速しているのは新型コロナの感染拡大の影響だ。各地で図書館の臨時休館が相次ぐなか、閲覧を望む利用者の声が多く寄せられた。デジタル資料なら、図書館に足を運ばなくてもインターネットを介して読むことができる。 デジタル化作業のデモの様子。開いたページにガラス面を押し付け、テンポよく足元のスイッチでシャッ
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