小学3年生のときの担任の先生を、私たちが暴力パンダと渾名したのは、みんな大好きなパンダによく似た丸っこい顔のやさしそうな先生(男性)なのにすこぶる暴力的だったからだが、彼は音楽を偏愛し音楽の授業への熱の入れようは尋常でなく、全盛期の山下洋輔ばりに鍵盤をぐわんぐわん叩くものだから音楽室のぼろぼろのアップライトはいまにもばらばらになりそうである。合唱コンクールや学芸会なぞちかづこうものなら、国語や算数の授業そっちのけで練習にかかりきり。指導方法は「でかい声を出せ」の一点張りで血管が千切れるほど絶叫するか、喉から血ヘドを吐くか、トチった者が木琴のバチで側頭部を殴打されるか、いずれにせよ血を見なければおさまらない。ハーモニーはおろか男声女声おかまいなし、基本的にユニゾン、いやほとんどトーン・クラスター状態であり、私は後年グレン・ブランカの音楽になによりまず懐かしさを感じたのはこのときの体験の賜物で
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