広く東アジアに伝播し、文字や学問、思想、技術を伝える媒体となった漢籍。 それらは社会史・文化史における豊潤な史料的源泉として着目され、特に欧米においては、従来の書籍史・印刷史研究を踏まえつつ、複合的な視野からの新たな研究が進められている。 出版・流通・蒐書など、書物をめぐるコミュニケーションを担う人びとの営みを描き出した、研究の第一線を示す本邦初公開の必読論文を収載。 これからの中国書籍史研究の羅針盤として、その可能性と展開を示す画期的論集。 はじめに 第1部 漢籍史と印刷技術 漢籍の歴史について シンシア・J・ブロカウ 東西における印刷技術に関する比較―いくつかのステレオタイプな見方に関する調査― T・H・バレット 第2部 商業出版と読者層の拡大 麻沙本―宋から明に至る建陽における商業出版― ルシール・チア 杭州と蘇州の還読斎―十七世紀の出版の研究― エレン・ウィドマー 十九世紀のベスト