江戸の放火犯・盗賊・博徒を取り締まった火付盗賊改(ひつけとうぞくあらため)。その頭(かしら)といえば人気小説『鬼平犯科帳』の長谷川平蔵が有名だが、描かれる鬼平はあくまで創作上のキャラクターだ。実在した彼らの活動はどのようなものだったのか。『火付盗賊改 鬼と呼ばれた江戸の「特別捜査官」』を著した作家の高橋義夫さんに話を聞いた。 ――今回、執筆依頼を受けて、どのように感じましたか。 高橋:長い間、一読者として中公新書に親しんできた私のような者から見ると、特に歴史のジャンルでは、中公新書はわかりやすい専門書という位置づけになります。多くの人に理解されるが、学術的な基礎を踏みはずしてはいけない。つまり嘘はだめということです。 『火付盗賊改』は3冊目の中公新書になりますが、身が引き締まる思いがしました。だから原稿が遅くなったと言い訳するつもりはありませんが。 ――火付盗賊改とはどのような役職でしょう