「弁護士ドットコム」のサイトに「録音の反訳は絶対やらなきゃダメですか」という見出しの記事があります。「反訳」とはあまり聞きなれないことばですが、どういう意味でしょう。 じつは、もの書きの人びとは、この反訳はとても身近な作業といえます。いまの意味では「音声起こし」あるいは「テープ起こし」「文字起こし」とよばれている作業と同義だからです。 取材で取材対象者の話している声を録音し、それを文字にしていきます。取材対象者がどんなことを言ったのかをきちんと文字にしておけば、原稿を書くうえで便利だし、正確な表現を心がけられるからです。 しかし、どうして音声起こしのことを反訳とよぶのか。これは、このことばの昔の使われかたを知ると、わかってきます。 国会の衆議院と参議院には事務局員がいます。事務局員の仕事のひとつに「反訳」があります。これは、速記者とよばれるべつの職員たちがおこなった速記での符号をふつうの文