医療保険改革と「老人終末期医療」 事実に基づいた改革を なぜ終末期医療が問題となるのか 最近、終末期医療をめぐる「研究報告」が、厚生省やその外郭団体の資金によって、世に発表されている。また政府の審議会等でも、終末期医療が検討項目となっている。「平時において国家が人間の死に関与しようとする、これは異様な現象である」という認識をもって対処すべき状況だと私は思う。 しかし問題は、一般世論ではさほど奇異なことと考えられていないことだ。医療費改革の主題が、老人医療費の増大への対策であり、老人医療費増大の問題点が「老人終末期医療費」に現れると考えられているからであろう。代表的な意見として「近年、終末医療費が高額に上がっていることは周知の通りである。さらに今後は高齢者特に後期高齢者の死亡数が急増することから、終末医療費の規模は今後急速な拡大が見込まれる。終末医療費が遠からぬ将来において医療保険財政を圧迫