<37> 「四十八茶百鼠」とはどんな色? 化学染料が発見された1856年以前は、植物や貝や虫などからの染料と、土のなかに含まれる金属が酸化してできる顔料で衣類を染めていました。天然染料から作る微妙な色合いは、今の時代のカラフルな色ではなかったのですが、庶民は数少ない色合いを楽しんでいたそうです。 天然染料しかなかった江戸時代、江戸や上方を中心に豊かな商人が次々と誕生し、華麗な町人文化が生まれました。豊かな町人は衣服にお金をかけるようになり、ぜいたくで派手な暮らしをするようになってきました。そこで、幕府は奢侈(しゃし)禁止令、すなわちぜいたくを戒める法律を定めて、これに歯止めをかけようとします。庶民が食べてはいけない食材を決めてみたり、かるたや花火といった遊びまで禁止にしたこともあったようですが、最も厳しかったのは衣服の素材や色に対する制限でした。つまり、庶民が身につけられるのは麻か綿の素材