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ブックマーク / tsujimotter.hatenablog.com (11)

  • 色と対称性:銅錯体の色のしくみ(前編) - tsujimotterのノートブック

    今日考えたいのは 銅錯体 についてです。 硫酸銅は2価の銅イオン と硫酸イオンイオン結晶 です。これ自体は白い粉なのですが、水に溶けると 青色 に呈色します。 飽和量以上の硫酸銅を加えると結晶が析出しますが、その結晶の色も綺麗な 青色 となります。硫酸銅(Ⅱ)五水和物と呼ばれるもので、化学式で書くと となります。これは、2価の硫酸銅に5つの水分子 が配位結合していることを表します。(あとで配位結合とは何かについては説明します。) 実際を見てみると、とても綺麗な色をしていますね。 (ちなみに、こちらは自分で買った私物です。笑) 硫酸銅の水和物は高校化学でも扱うので、化学好きの人にはおなじみかもしれませんね。 ※なお、硫酸銅の結晶は毒性がありますので、購入を希望される方はよくよく調べた上で、取り扱いには十分ご注意ください。 水溶液の中の銅も、結晶の方の銅も、どちらも 錯体 と呼ばれる種類の

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  • 日曜化学:量子力学の基本と球面調和関数の可視化(Python/matplotlib) - tsujimotterのノートブック

    最近、とある興味 *1 から量子力学(とりわけ量子化学)の勉強をしています。 水素原子の電子の軌道を計算すると、s軌道とかp軌道とかd軌道とかの計算が載っていて、対応する図が教科書に載っていたりしますよね。 こういうやつです: Wikipedia「球面調和関数」より引用 Attribution: I, Sarxos 個人的な体験ですが、予備校の頃は先生の影響で「化学」に大ハマりしていました *2。 ここから「Emanの物理学」というサイトの影響で「物理」に目覚め、そこからなぜか「数学」に目覚めて現在に至ります。そういった経緯もあって、化学には大変思い入れがあります。 特にこの水素原子の軌道の図は当時から気になっていて、自分で描いてみたいと思っていました。先日ようやく理解でき、実際に自分で描画できるまでになりました。以下がその画像です: これはタイトルにもある「球面調和関数」と呼ばれる関数を

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  • 「π>3.05を凄すぎる方法で証明」を整数論的に考える - tsujimotterのノートブック

    「」を示す問題が2003年の東大入試で出題されました。これは有名なのでみなさん良くご存じかと思いますが、一方で以下の動画のような解法はご存知でしょうか? www.youtube.com たいへん面白い解法なので、まずは一度ご覧いただきたいです。動画の解説もとても丁寧です。今回の記事はこの動画の内容を前提としてお話したいと思います。 動画の概要欄にもリンクが載っていますが、Yahoo知恵袋の以下の質問の「その他の回答」に載っていた回答が元ネタだそうです。 detail.chiebukuro.yahoo.co.jp 元ネタの人はどうやって発見したんでしょうね。いやー不思議です。 今回私が考えたいのは、いったいどうしてこんな解法が存在するのであろうかということです。登場するパラメータが絶妙なバランスで構成されていて、このような解法が存在すること自体が非自明です。 今回はその背景にある理屈を整数論

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    hikabu
    hikabu 2021/04/22
  • 任意の素数はレピュニットの素因数に現れる(2, 5を除く)あとダイヤル数 - tsujimotterのノートブック

    Twitterって当に面白いなと思うのですが、人々のいろんな発見が流れてくるのです。 私が最近面白いと思ったのは次のツイートです。 「2、5を除く全ての素数は11、111、1111、…の素因数として“周期的に”現れる」ってことに気が付いて、証明できた気がするんだけど、これって素数の研究に役立ったりしないかな。おれが気付ける程度のことだから既に知られているとは思うけど。— Yukinari (@yukinarioshiro) 2020年8月27日 レピュニットについてはこれまでも何度か記事にまとめてきましたが、このツイートに書かれているような事実は知りませんでした。とても面白いと思いましたので、ぜひ紹介させてください。 レピュニット関連の記事はこちらから: tsujimotter.hatenablog.com 今回の話はレピュニットだけでなく、「循環小数」や「ダイヤル数」という面白いテーマ

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  • 分数の足し算で「約分」が発生する条件(3) - tsujimotterのノートブック

    最近、頭の中が「分数の足し算」でいっぱいなtsujimotterです。こんにちは。 前回・前々回の記事から引き続き、分数の足し算の話題です。過去記事はこちらをご覧ください: tsujimotter.hatenablog.com tsujimotter.hatenablog.com さて、これまで分数の足し算 において、素数 で約分できる条件について考えてきました。前回はp進展開を用いた見方を与えました。 今回はより簡潔に判定できる考え方を教えていただきましたので、それを紹介したいと思います。といっても、原理はp進展開の場合と同じです。 さらに考えを推し進めると「 で割れるか」だけでなく「 で割れるか」についても議論できることに気づきましたので、それについて紹介します! pで約分できる条件 この方法は、@toku51n さんに教えていただきました。 4/15+9/35が約分できる理由はざっと

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    hikabu 2020/06/26
  • 33 = X^3 + Y^3 + Z^3 の整数解 - tsujimotterのノートブック

    今回のテーマは 33 という整数についてです。今朝、アフィンスキームについての重い記事を投稿したばかりですが、この記事では軽い感じでいきましょう。 を固定した自然数として、 なる方程式の整数解を考えたいと思います。 今回の内容を紹介する動画ができました! よろしければこちらもご覧になってください! www.youtube.com たとえば、 の場合は という自明な解があります。ほかにも という解もあります。これはまさにラマヌジャンの見つけたタクシー数 のケースですね。 の場合は となります。整数解なので、マイナスでもいいわけですね。 のときは と表せます。 このように、さまざまな が3つの三乗数の和や差によって表せます。 上記のケースでは解が比較的簡単に求まりましたが、 がもっと大きな値になることもあります。 の組み合わせが見つかっていないような も存在します。 今回の主題は、 のケース、

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    hikabu 2019/05/13
  • ストークスの定理 - tsujimotterのノートブック

    電磁気学やベクトル解析の講義で「ガウスの定理」や「ストークスの定理」「グリーンの定理」という法則を習ったと思います。これらの法則は一見別々のものに見えますが、微分形式を用いるとこれらの法則を統一的に扱えるという素敵なお話を紹介したいと思います。 最近、この話を理解して楽しくなってしまって、自分なりにまとめてみたくなりました。よろしければお付き合いください。 今回の予備知識としては、以下の記事の2章ぐらいまでを読んでおくといいかと思います。 tsujimotter.hatenablog.com また、「ガウスの定理」や「ストークスの定理」等の定理の主張は知っているものとして進めます。 今日最初に考えたいのは、グリーンの定理です。 グリーンの定理 平面内に(単純閉)曲線 で囲まれた(単連結な)領域 があるとき,次の公式が成り立つ: ただし,線積分 は, 上を反時計まわりの方向に積分する. この

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    hikabu 2018/05/07
  • 部分分数分解の公式 - tsujimotterのノートブック

    Twitterを眺めていると、とても楽しいツイートが流れてきました。 部分分数分解のこのテクニックなんだ。 知らなかった。 pic.twitter.com/DwfFX3JSB4— やまごえ@情数教育 (@awellbottom) 2018年4月23日 部分分数分解のテクニックだそうです。私も知りませんでした! という多項式の積で書かれた分数を、 を使って以下のように置きます。 この を求めよ、というのが部分分数分解の問題です。 上の式を素朴に計算しようと思うなら、右辺を展開して連立方程式を解いたら良いわけですが、これがなかなか面倒です。 なかなか面倒な計算例: 式 の右辺を通分すると、 となります。左辺と係数比較すると なる連立方程式が得られます。これを解くと となり、解が得られた。 これをエレガントに解く方法が冒頭のツイートだったのでした。 どのように計算するかというと を求めるためには

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    hikabu 2018/04/29
  • 合同ゼータ関数のリーマン予想 - tsujimotterのノートブック

    2017年の2月ごろに「ゼータ関数 強化月間」と題して、ゼータ関数に関する記事を書いていたのを覚えている方はいますでしょうか。そのとき投稿できたのは結局2件だけでしたが、実はもう一つ温めていたテーマがありました。それは 合同ゼータ関数 についてです。2月の記事のひとつ「ゼータ関数の行列式表示」は、今回のテーマのために用意された布石だったのですが、一年越しでようやく回収できそうです。 合同ゼータ関数の魅力の一つは リーマン予想が解決している ことです。一般に、ゼータ関数に対しては、リーマン予想を考えることができます *1。リーマン・ゼータ関数におけるリーマン予想は有名な未解決問題ですが、ゼータ関数によってはリーマン予想が解決されているものもあります。合同ゼータ関数が、まさにその代表例です*2。 私が合同ゼータ関数に興味をもったポイントは、もう一つあります。それは、合同ゼータ関数の証明に エタ

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    hikabu 2018/01/17
  • 昨日話しておきたかった数学豆知識 - tsujimotterのノートブック

    「tsujimotterのノートブック」では、明日話しておきたい数学豆知識アドベントカレンダーという企画をやったことがあります。 adventar.org この話を覚えておけば、明日は職場で大人気だぜ(?)、という数学豆知識を紹介する企画でした。 今日は、その逆で、 昨日知っておけばヒーローになれたかもしれない(?) というお話を紹介したいと思います(いったい何の役に立つのか)。 2017 と 1204 の関係 昨日の日付は、2017.12.04 でした。そこで 2017 と 1204 という数に着目します。 2017 という数が素数であることはよく知られていますが、実は 非正則素数 という重要な数でもあったのです。 非正則素数とは、少し難しい概念ですが、以下に簡単にまとめていますので初めての方はご覧ください。 tsujimotter.hatenablog.com 「( 次円分体の)イデア

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    hikabu 2017/12/06
  • 「触れるゼータ関数」ついに販売開始しました! - tsujimotterのノートブック

    ニコニコ学会β 第8回シンポジウムにて,tsujimotter が披露し好評を博した「触れるゼータ関数」がついに発売! 今まで触れることができなかった「ゼータ関数」があなたの手に! 冒頭からテンションの高い文章となっていますが,ついにあのゼータ関数を,皆様の手にお届けする準備が整いました! ニコニコ生放送でも放送されたニコニコ学会βのシンポジウムで,tsujimotter はゼータ関数の魅力を凝縮してご紹介しました。 日曜数学の成果として,作品をいくつかご紹介したわけですが,その1つが「触れるゼータ関数」だったのです。 まだ見ていないという方は,まずはニコニコ生放送のアーカイブで辻の発表をご覧ください。 第8回ニコニコ学会βシンポジウム~現実性を超えて~@ニコニコ超会議2015[DAY2] - 2015/04/26 10:00開始 - ニコニコ生放送 発表を見てくださった方の中には,ゼータ

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    hikabu
    hikabu 2016/01/29
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