(承前) 指が動いてくれない、という壁を突破するためには、「ピアノをどうやって弾くか(奏法認識)」というソフト側と、「体をやわらかくしておく(大枠)」のハード側、その両側からトンネルを掘り進み開通させるのが賢明だと思います。第1部で述べたのが前者で、これから述べるのが後者です。もしこの世に完全無欠な鍵盤奏法というものが存在するなら、年をとろうが何をしようが指は回り続けるでしょうし、ピアノのみならずくチェンバロもクラヴィコードもオンド・マルトノでもこなせる筈です。また、いかなる手の変位も体が柔軟に受け流すことが出来るなら、あらゆる体操選手はピアニストへ転職可能でしょう。 第1部の、指先成分をゼロへ持ち込む奏法については、私は寡聞にして文章化された前例を知りません。(もっとも、それに近い弾き方をしている奏者は少なからずいます。)第2部での体法関連については、幾つかのキーワードで検索すれば山のよ