厳しい演出、俳優育成 アングラから商業演劇、そして世界へ−−。戦後の現代演劇界をエネルギッシュに駆け抜けた演出家、蜷川幸雄さんが12日、80年の生涯に幕を下ろした。 評伝 作品名に「NINAGAWA」と名前が冠せられる希代のスター演出家。「人を驚かせたいし、自分も驚きたい」と常々口にしていた通り、1969年の演出家デビューから、その最期まで、芝居作りに情熱を傾けた。 演出家デビュー作は1歳年下の清水邦夫さん作「真情あふるる軽薄さ」。70年安保前夜、アートシアター新宿文化の狭い舞台に50人の俳優の行列を作り、ラストは機動隊の扮装(ふんそう)をした俳優が客席になだれ込むという挑発的な演出で、アングラ演劇界に躍り出た。