ライバルの存在は、腕を磨き、人間を成長させる。会社も同じだ。価格競争や技術の差別化で、同業他社と競いあってきた。 しかし、剣術を磨き続けた2人が決闘する時、舞台は巌流島のはずが、実は温暖化現象で溶け始めた北極の氷の上だったら――。二刀流などと呑気なことを言っている場合ではない。 ■自殺者が急増した1998年に何が起こったのか 1998年、日本人の自殺者数が、突然、激増した。それまで2万人台前半を推移していたのに、いきなり3万2863人に跳ね上がり、以後、14年もの間、3万人を割ることはなかった。「貸し渋り」「貸し剥がし」という言葉が盛んに言われるようになり、企業は銀行からカネを借りるのではなく、内部調達にシフトしていく。企業が投資超過から貯蓄超過に数字を逆転させた年が98年だった。内部調達によって影響を受けたのが、給料だ。98年から雇用者報酬の伸び率がマイナスに転じた。 低賃金、非正規雇用