綿密な時代考証に裏打ちされた端正で情感に富む絵を歴史・時代小説に描き続けた挿絵画家の中一弥(なか・かずや、本名福寿〈ふくじゅ〉)さんが27日、肺炎のため津市の病院で死去した。104歳だった。葬儀は近親者だけで行った。お別れの会などの予定はいまのところない。 「墨の中にすべての色彩がある」が持論で、墨色の濃淡を生かした作風で知られる。時代考証のために借金をしてまで古書を集めた時期もある。 1911年大阪府生まれ。27年、挿絵画家の小田富弥に師事。29年、直木三十五の新聞連載「本朝野士(やし)縁起」などを皮切りに、80年以上にわたって、吉川英治、山手樹一郎、山本周五郎、野村胡堂、海音寺潮五郎、村上元三、藤沢周平、吉村昭ら多くの作家の仕事を手がけた。 なかでも池波正太郎の「鬼平犯… この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 この記事は有料会員記事です。有料会員になる