「鬼は外、福は内」と、節分で外に追い出される存在であるように、一般的に『鬼』には怖くて悪さをする者、というイメージがあります。ところが青森県の津軽地方における鬼は、厳しさと優しさを合わせ持つとされ、「災いを払ってくれる神のような存在」として人々から大切にされています。津軽では「福は内、鬼も内」なのです。 津軽地方の神社を参拝すると、鳥居の上に鬼が座っているのを見かけます。これらの多くは鳥居の2本の横柱の間に、柱を支えるように座っています。これが『鬼コ』です。鳥居に座る『鬼コ』はまさに、鬼が神に近い存在であるということを表していると言えるでしょう。 こちらが私が初めて出会った鬼コです。両肩で鳥居を支えながら、災いが集落に入り込まないよう睨みをきかせている……とされる『鬼コ』ですが、この鬼コは全く睨みをきかせているように見えません。このユル可愛らしさは私の中の『鬼』という概念を覆しました。そし