83年の歴史に幕を下ろした東京・築地市場。「東京の台所」の役割は2018年10月11日、豊洲市場にバトンタッチした。昭和30年代には既に取扱量の増大や車両の増加が問題になり、昭和47年には「第一次東京都卸売市場整備計画策定」を策定して機能分散などの具体的な検討が始まったという。その後「大井への移転」「築地の立体化」「臨海部への移転」「再度、築地の再整備」と様々なプランが持ち上がっては立ち消えになり、ようやく2001年に豊洲への移転を決定。ところが土壌汚染問題や政治に翻弄され、その後移転まで17年もの月日を費やしたのはご存じの通りである。 筆者はとあるご縁からこの2年間、築地の場内・場外によく足を運んだ。買い物や魚がし横丁での食事はもちろん、場内に精通する仲間たちと知り合ったおかげで、魚や貝の目利きの仕方をプロの仲卸業者さんから直接教わったり、重鎮の方々から築地の伝統や歴史について学んだりす