と、ここまでの歴史はアルビノに限らず、他の多くの「異形の人々」がたどった系譜とよく似ており、さほど目新しくはない。日本でのアルビノをめぐる様相が独自の展開をしていくのは近代以降のことだ。まず一点目は、戦後のサブカルチャーシーン、とりわけ近年のオタク文化圏における「アルビノ萌え」なる現象である。病者・障害者を見世物にすることはもちろん、話題にのせることすらはばかられる「道徳的な」社会において、病気・障害であるはずのアルビノが、キャラクターとして大量に生産・消費され、場合によっては性的欲望の対象となっているのである。アルビノのキャラクターに萌える人々は、アルビノについて、当事者について理解した「フリ」をして「政治的な正しさ」を確保する。さらに、2次元と3次元の連続性をなくすことで、3次元世界の当事者を不可視化する。こうした2次元のキャラクターに萌えるための巧妙なロジックを用いることで、彼/彼女