今週のコラムニスト:レジス・アルノー 〔9月26日号掲載〕 日本に来てから学校でのいじめの話をたびたび耳にしてきた。毎年のように悲劇が起きる。騒ぎは数週間で収まるが、忘れた頃に新たな悲劇が起きる。 いじめは日本だけに限らない。いじめが原因でイギリスでは毎年推計15~25人の子供が自殺、アメリカでは毎日推計16万人の子供が登校を拒否する。フランスでは、教育省の調査によれば生徒の10%(20万人)がいじめを経験している。 いじめは特定の文化に固有の社会問題ではなく、むしろ人間のごく基本的な性質と関連している。集団をつくる人間は仲間の1人をいじめて結束を強めようとする傾向がある。フランスの精神科医ニコル・カトリーヌによれば、「まだアイデンティティーが確立していない10代の若者は集団への帰属意識が強い。集団から抜けたり集団のルールに従わない人間はスケープゴートにされる」。 日本では集団志向が非常に