9月10日に辞任会見に臨む鉢呂吉雄経済産業大臣(当時) 「どじょう内閣」の愛称とともに高支持率でスタートした野田政権は、発足からわずか9日で泥をかぶることになった。経済産業相に就いた鉢呂吉雄氏が「失言」によって早々と辞任に追い込まれたのだ。福島第一原発を視察した翌日の記者会見で、原発周辺の地を「死の町」と表現して批判を浴び、さらに非公式の記者懇談で「放射能をうつしてやる」という趣旨の発言をしたと報じられ、辞意表明に至った。 原子力政策にもかかわる重要閣僚として、極めて不適切かつ無責任な言動―このように社説で非難した産経新聞をはじめ、新聞やテレビでは「辞任は当然」といった論調が大勢を占めた。しかしツイッターなどネットでは、鉢呂氏を擁護する意見も少なくなかった。むしろ「マスコミによる言葉狩りではないか」と政治報道のあり方を問題視する声が広がった。 象徴的だったのが、9月10日の辞任会見で