一年前の今日、衆議院が解散されて、あの生涯忘れられない真夏の選挙戦が始まった。私のこれまでの人生の中で最も印象深い総選挙だった。その日の朝、官邸に入る小泉首相は決意した戦闘モードの厳しい表情に固まっていて、官邸詰めの記者が、一階ロビーを早足で横切る本人に向かって「総理、解散ですか」と問いかけたのに対し、右手を上げて小さく頷き、それを見た記者たちから「おーっ」と喚声が上がった。「解散だ」。ほどなくして参院本会議場で郵政民営化法案の採決が行われ、結果は否決。議場正面の雛壇に一人で着席していた責任閣僚の竹中平蔵が、苦虫を噛み潰した顔で議場の議員に一礼した。そして粛々と手続きが行われて衆院本会議が開かれ、熱気と興奮のうちに議長の河野洋平から解散が宣言された。その瞬間の私の気分は「勝った」という高揚の極にあり、議場の「万歳」の声を(資本論的な)新自由主義「最後の鐘が鳴る」如くに聞いていた。NHKの国