海洋への鉄散布による二酸化炭素固定について 山口大学名誉教授 梶 原 忠 彦 1. はじめに 地球温暖化の原因物質としては、二酸化炭素、フロン(クロロフルオロカー ボン)、メタン、亜酸化窒素などが知られている。1995年にはフロンガス 生産の廃止が決められていることなどから、今日では、二酸化炭素濃度の増加 は、気温上昇に対して60%以上の比重を占めると見積もられている。地球に到 達する太陽光の大部分は可視光線で、可視光線は大気中の二酸化炭素に吸収さ れることなく地表を暖める。 この熱は、地表から大気に遠赤外線として放射 される。このように、二酸化炭素は地球の気温調整をすると同時に、光合成生 物にとっては不可欠な化合物である。つまり、大気中の二酸化炭素が増え続け ると気温が異常に上昇してしまうので、二酸化炭素の平衡を保つことが環境保 全の観点から重要と考えられる。 新人(クロマニオン人など)