(第81号、通巻101号) 「いちばん最初」などの「重言」を扱った前回のブログも予想外に反響が大きく、1週間当たりのアクセス数が2週続けて2000を超えた。メールなどで重言の具体例もいくつか寄せられた。そのうちの一部を紹介して「重言」(じゅうげんorじゅうごん)編の幕としたい。 日常の会話でよく使われる言葉としては「湯を沸かす」が挙げられる。「沸かす」は、辞書にあたるまでもないが、念のため『新明解国語辞典』(三省堂)の語釈を借りると「水を熱して湯にする(煮え立たせる)」、つまり、加熱する、の意であるから、「湯を沸かす」は重言になり、間違った用法である。「水を沸かす」なら理屈に合う、という意見だ。 あるいは、「ご飯を炊く」という言い方。ご飯、という以上もう出来あがっているのだから今さら炊く必要はない。炊く前の状態は米なのだから、正しくは「米を炊く」とすべき、という理屈だ。まったく同じではない