「ひめさま、えつらんしつ、いく」 「あんないする」 わたしを案内してくれるのは二匹のウサギだ。シュバルツとヴァイスはそう言いながら、ソランジュの執務室の奥へと向かおうとする。このまま奥に向かって良いのかどうか、エーレンフェスト一行が顔を見合わせていると、ソランジュが苦笑しながら二匹を呼び止めた。 「シュバルツ、ヴァイス。そちらはお客様をご案内する扉ではございませんよ」 どうやら、この執務室の奥には、図書館の業務スペースに直接つながる扉があるようだ。 シュバルツとヴァイスは日常的に使っている扉だけれど、客を案内するための出入り口ではない、とソランジュに注意されて、シュバルツとヴァイスはわたし達が入ってきた扉へとほてほてと歩いてきた。そして、大きく扉を開けてくれる。 「こっちからいく」 「ひめさまはおきゃくさま」 シュバルツとヴァイスは働くことを前提に作られている魔術具だからだろうか、二匹が着