2018年に公開されたドキュメンタリー映画「沖縄スパイ戦史」は、文化庁映画賞、キネマ旬報文化映画部門ベストワンなど8つの賞を受賞した。大手マスコミもこぞって好意的に取り上げた。この作品をつくった映画監督の三上智恵さんが、同じテーマを書籍としてまとめたのが、本書『証言 沖縄スパイ戦史』 (集英社新書)だ。新書本で750ページを超える超大作。映画完成後にさらに再取材するなどして内容を充実させたという。活字の記録として後世に残すことにこだわったのだろう。いくつかの新事実も加えられ、完成度の高いものになっている。 2時間に及ぶ大画面の映像 映画「沖縄スパイ戦史」は太平洋戦争末期の沖縄戦がテーマだった。米軍と日本軍の軍隊同士の戦いの陰で、沖縄の子どもたちも「兵士」に仕立て上げられ、ゲリラ戦に動員されていた。14~17歳の1000人近くが「護郷隊」に召集され162人が亡くなったとされる。指導していたの