日本人間ドック学会が4月に発表した健康診断の基準値を緩める案に、脂質異常症や高血圧など病気の診断基準を定めている専門学会が反発や懸念を示している。患者の一部が「健康」となり、勝手に治療をやめる恐れがあるからだ。 人間ドック学会は、人間ドックを受けた人のデータをもとに27の項目について「異常なし」とする数値を定める基準案を作った。従来に比べて肥満度や血圧などの値が緩和。脂質関連の値は大幅に緩められた。 これに強く反発したのが脂質異常症の診断基準をつくる日本動脈硬化学会だ。「誤解を生じる可能性があり、日本国民の健康に悪影響を及ぼしかねず危険」などとする見解を発表した。 前学会理事長の寺本民生・帝京大臨床研究センター長は「数値が高い人は10年後に心臓病などで亡くなる確率が高くなることがわかっている。治療が必要な人が放置される恐れがある」と話す。 日本高血圧学会も「『正常』という値が複数存在するこ