現代企画室編集長・太田昌国の発言のページです。世界と日本の、社会・政治・文化・思想・文学の状況についてのそのときどきの発言が逐一記録されます。「20~21」とは、世紀の変わり目を表わしています。 国家を背景にして発言したくはない、と思い続けてきた。国家人あるいは国民という自己規定に基づいて発言することはしたくない、とも。 それは、先人たちが火傷を負い、他民族にまで害悪を及ぼした日本民族主義・日本国家主義の克服をめざす立場から、である。加えて、国家なるものは、私自身のアイデンティティを最後まで根拠づけてくれるような存在ではないからである。 人類史をふり返ってきて、たかだか数世紀の歴史しかもたない近代国家の枠組にわが身を預けてしまうことの、自他に対する「危うさ」を知ったからである。 そのような立場から、いわゆる北方諸島問題について発言したことがある。 ソ連体制末期の一九九一年、当時のゴルバチョ