読了。前回この本について書いたときは*1前半ぐらいまでしか読んでなかったのですが、後半もみっちり面白かったです。アイヒマンに対してのアレントによる評価とは、おおよそエピローグにあるこのセンテンスに集約されているでしょう。「アイヒマンという人物の厄介なところはまさに、実に多くの人々が彼に似ていたし、しかもその多くの者が倒錯してもいずサディストでもなく、恐ろしいほどノーマルだったし、今でもノーマルであるということなのだ(P.213)」。これに、どこまでも愚鈍な男、というのがくっつく感じです。この本のなかで、アレントはイェルサレムの法廷の正義を厳しく追及しているのですが、それは彼女の評価と、法廷の評価が大きく乖離していることも理由のひとつなのでしょう。 ドイツが敗戦したのち、いろいろ上手いことやってアルゼンチンに逃げ失せたアイヒマン。彼が行方不明になってる間に、なんだかアイヒマンはすっごいナチの