高見順の『敗戦日記』、昭和二十年十一月十四日の条に、 松坂屋の横に Oasis of Ginza と書いた派手な大看板が出ている。下にR.A.Aとある。Recreation & Amusement Association の略である。松坂屋の横の地下室に特殊慰安施設協会のキャバレーがあるのだ。「のぞいて見たいが、入れないんでね」というと、伊東君が、「地下二階までは行けるんですよ」 地下二階で「浮世絵展覧会」をやっている。その下の三階がキャバレーで、アメリカ兵と一緒に降りて行くと、三階への降り口に「連合国軍隊ニ限ル」と貼紙があった。「支那人と犬、入るべからず」という上海の公園の文字に憤慨した日本人が、今や銀座の真ん中で、日本人入るべからずの貼紙を見ねばならぬことになった。しかし占領下の日本であってみれば、致し方ないことである。ただ、この禁札が日本人の手によって出されたものであるということ、日
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