「あの」戦争について書かれた本は多岐にのぼる。小学生のころに手にした太平洋戦記を皮切りに多くの本を読んできた。最近の問題意識は、「あの」戦争の個々の局面における決断や戦局推移にではなく、どうすれば「あの」戦争を回避することができたのか、どのような選択が開戦以前にできたのかということだ。 戦争という国家政策を遂行するにあたっては、哲学(フィロソフィー)、政策(ポリシー)、戦略(ストラテジー)、戦術(タクティクス)が一貫していて、かつ効率的に運用されていることが必須となる。通常の戦史ものでは、タクティクスあるいはそれより下位レベルの問題が取り上げられる。あるいは哲学あるいはフィロソフィーでの批判が行われる本もある。 この本では、タイトルのように「マクロ経済学」*1(もとというよりも当時の経済情報、指標を使うにとどまり、経済理論的な検討は少ない)を使って、1930年以降敗戦までの軍の意思決定や行