避難生活が長期化し、盛夏到来で暑い日が続く被災地で、ひときわ人の集まる場所がある。パチンコ店。「人恋しい」「失業して居場所がない」。つらさを一時でも忘れたいという切実さが垣間見える。 7月上旬、岩手県大船渡市の郊外にある「大船渡セントラル」。平日昼にもかかわらず368台のパチンコとスロット台はほぼ埋まっていた。「気晴らしが大切なんだべ」。空き台を通路で待つ陸前高田市の農業の男性(63)は言った。 男性は自宅と約5千平方メートルの畑を津波で失った。3カ月ほど友人宅に身を寄せた。同居する7人中、自分だけが他人。「話が合わない。先に寝られない。言いたいことも言えない。孤独だし、窮屈で窮屈で」。血圧が200に上がった。たまらずパチンコに逃避すると心が和んだ。 6月に妹が仮設住宅の抽選に当たり、母と3人暮らし。壁は薄く会話が隣に筒抜けで気を遣う生活は続く。「勝ち負けにはこだわらない。やめたいけ