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2009年7月25日のブックマーク (11件)

  • ジョセフ・スティグリッツ「倫理的なエコノミスト」(2) - 備忘録

    (前回のエントリー) ジョセフ・スティグリッツ「倫理的なエコノミスト」(1) 下記の書評翻訳の続きです。*1 ジョセフ・スティグリッツ「倫理的なエコノミスト」(Foreign Affairs 11-12/2005) 半歩の前進と躓き グローバリゼーションの貧困への衝撃に関する議論において、フリードマンは、たとえグローバリゼーションが国内の不平等の拡大と結びついてきたとしても、グローバルには貧困と不平等の削減につながる、との見方を支えてきた。その分析には3つの不備がある。第1は、貧困の定義に関係する。世界銀行が様々な観点から強調しているように、貧困は単に所得の問題ではなく、不安定と声を出すことができないことも、その要素の一部にある。フリードマンの分析は、完全に、これらの次元を無視している。 第2の批判は、何がグローバリズム来の問題とはいえず、特別な政策にともなわれたものなのか、という点に関

    ジョセフ・スティグリッツ「倫理的なエコノミスト」(2) - 備忘録
  • ジョセフ・スティグリッツ「倫理的なエコノミスト」(1) - 備忘録

    ※コメントいただいた点について、随時修正を行います。 いま、猪木武徳「戦後世界経済史」を読んでいるのですが、はしがきに次のような記述がありました。 滞っていた書の執筆に踏み切れたのは、中央公論新社の新書編集部の高橋真理子さんに「構成目次」をお渡ししてから七年の歳月が流れてしまったことにわれながら驚いたこと、昨年秋に偶然手にした米国の経済学者、ベンジャミン・フリードマン(Benjamin F.Friedman)のThe Moral Consequence of Economic Growth(Alfred A.Knopf, 2005)を読んで大きな刺激を受けたことが影響した。同書は、今時の金融危機の発生以前に書かれているが、経済成長とモラルの関係を取り上げており、経済学が、法学や倫理学、道徳哲学から枝分かれした学問であることを改めて想い起こさせてくれた。 戦後世界経済史―自由と平等の視点か

    ジョセフ・スティグリッツ「倫理的なエコノミスト」(1) - 備忘録
  • 日本の雇用システムの柔軟性とその弊害 - 備忘録

    ※追記を追加しました。(09/06/10) 先日のエントリーに関連して─というか、「チンピラ」(爆)のことは無視して─日の雇用システムについて、もっとまじめに考えてみることにしましょう。先日も紹介した大内伸哉「雇用はなぜ壊れたのか」から、別の一節を以下に引用します。 しかし、こうした給料の引き下げは、法的にはそれほど簡単なことではない。すでにある給料システムを変更するためには、原則として、個々の社員の同意が必要であるし(労働契約法8条)、就業規則という労働条件を統一的に定めている規則を変更することにより給料を一括して引き下げる場合には、厳格な要件(合理性)を充たさなければならないからである(同法第10条)。 このように給料による調整が困難である以上、解雇まで厳格に規制するのは経済合理性に合わないともいえる。しかし、現在の法的ルールでは、経営上の必要性がある場合の解雇(整理解雇)であっても

  • 共謀共同正犯者が他にいても単独正犯を認定して良いとした事例 平成21(あ)291 窃盗未遂,窃盗被告事件 平成21年07月21日 最高裁判所第三小法廷

    検察官において共謀共同正犯者の存在に言及することなく,被告人が当該犯罪を行ったとの訴因で公訴を提起した場合において,被告人1人の行為により犯罪構成要件のすべてが満たされたと認められるときは,他に共謀共同正犯者が存在するとしても,裁判所は訴因どおりに犯罪事実を認定することが許される

    共謀共同正犯者が他にいても単独正犯を認定して良いとした事例 平成21(あ)291 窃盗未遂,窃盗被告事件 平成21年07月21日 最高裁判所第三小法廷
  • 併合審理の利益 - 児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

    ここで問題になるとは思いませんでした。 併合審理の利益とか量刑の困難を理由として家裁の児福も地裁に引き取ったのに、今度は同じ地裁内部で分けるんですか? http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090725-00000005-khk-l04 ただ、今回を含め併合罪の関係にある複数の事件の審理を分離し、個々の刑罰を合算した場合、併合罪処理で一括するより重くなるとの見方があり、弁護士側からは「被告の利益を害しかねない」との指摘も出ている。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090725-00000013-khk-l04 元仙台高裁部総括判事の泉山禎治弁護士(仙台弁護士会)は「裁判官は併合罪処理に当たり、重い方の罪の刑に軽い方の罪の刑を含ませて刑期を考える」と解説した上で、審理を中断した裁判官の心中を「併合した場合に出る判決の量

    併合審理の利益 - 児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)
  • 法学者と行政官の乖離 - 自治体法務の備忘録

    dpiさんの興味深いご指摘、ちょっと長めですが。 法律家が前提としている思考様式の特徴を、民事法を念頭に図式的に表現してみると、法律関係に登場するアクターは基的に2人であること、すでに生じた紛争を解決するために事後的に介入していくこと、すでに存在する(はずの)法規範を事案に当てはめることで結論を得ること、という、「二元的・事後的・包摂型」の思考であることが指摘できると思います。もちろん応用形態は様々なものがありうるわけですが、ここで述べられたものが最も原始的・基的な形態であることは単純な民事裁判を念頭におけば納得していただけるのではないでしょうか。 それに対し、行政官の思考様式はこれとはだいぶ異なっているように思われます。まず、アクターが2人に限定されているということは非常に稀で、同時に複数ないし無数の利益を考慮に入れることが要請されるし、影響もそれと同じ範囲に及ぶでしょう。また、行政

    法学者と行政官の乖離 - 自治体法務の備忘録
  • hopping around: mountain guide

    登山ツアーのガイドさんの報酬が「成功報酬」,つまり,ツアーを完遂すると報酬が払われて,ツアーを中止にすると報酬が出ないようなスキームになっていると何が起きるか。 何でそういうインセンティヴが発生するのか,というと,この報酬スキームが,ツアー参加者に発生する効用をきちんとなぞらえるような形になっていないから。つまり,登山に伴うリスクが高い場合には,ツアーを決行するより中止した方がツアー参加者の効用が高まるわけだけれど,報酬スキームはそうなっていない。来,ツアーを中止するという意思決定は,非常にプロフェッショナルな行為であって,そういった意思決定に対しても相応の報酬が支払われるべきなのだけれど,そうはなっていないことになる。 とすると,抑止の観点からは,少なくともそういう報酬スキームを採っていない場合には,ツアー会社に責任を負わせた方がよいことになる。そうすることによって,ツアー会社は,ガイ

  • hopping around: employee representation

    今朝の朝刊に,民主党が会社法を改正して,従業員代表を監査役にすることを義務化,なんてニュース(リンクは東京新聞)が載っていたけれども。 (どーでもいいことなのかどうかよく分からないけれど,記事中の「雇用者」は,「被用者」の間違いなんぢゃないだろーか,という突っ込みはさておき。マニフェスト体が間違っているのか,記者が間違えたのか。ちなみに,中日新聞も同じになってる) ともあれ,ドイツのまねにしてはちょっと変だし,マニフェストに掲げられている政策目的とその効果との整合性も怪しいところがある: - 確かにドイツ株式法は,「監査役会」に従業員代表が入るけれども,ドイツ株式法の「監査役会」は,日の株式会社で言えば取締役会だから,監査役じゃなくて取締役にすることにしないと,正確な「まね」にはならない - 「経営監視の強化」っていう政策目的が掲げられているけれども,従業員はまさに,「社内」の存在であ

  • 寝言@時の最果て: ジャパン・シンキング?

    2016年04月(1) 2015年08月(1) 2015年07月(1) 2015年03月(1) 2014年09月(1) 2014年07月(5) 2014年06月(1) 2014年04月(1) 2014年01月(3) 2013年12月(1) 2013年11月(1) 2013年10月(4) 2013年08月(3) 2013年07月(4) 2013年06月(1) 2013年05月(3) 2013年04月(3) 2013年03月(3) 2013年02月(7) 2013年01月(6) 2012年12月(9) 2012年11月(10) 2012年10月(8) 2012年09月(4) 2012年08月(4) 2012年07月(8) 2012年06月(8) 2012年05月(8) 2012年04月(6) 2012年03月(3) 2012年02月(4) 2012年01月(7) 2011年12月(17) 20

  • 寝言@時の最果て: ワシントン―ソウルのラインは生きている 東京は?

    2016年04月(1) 2015年08月(1) 2015年07月(1) 2015年03月(1) 2014年09月(1) 2014年07月(5) 2014年06月(1) 2014年04月(1) 2014年01月(3) 2013年12月(1) 2013年11月(1) 2013年10月(4) 2013年08月(3) 2013年07月(4) 2013年06月(1) 2013年05月(3) 2013年04月(3) 2013年03月(3) 2013年02月(7) 2013年01月(6) 2012年12月(9) 2012年11月(10) 2012年10月(8) 2012年09月(4) 2012年08月(4) 2012年07月(8) 2012年06月(8) 2012年05月(8) 2012年04月(6) 2012年03月(3) 2012年02月(4) 2012年01月(7) 2011年12月(17) 20

  • 山河氏の「大機小機」はマクロプルーデンス論として必読=中銀が監督機能を担う問題点 : 本石町日記

    23日付の日経新聞「大機小機」で山河氏がマクロプルーデンス論のあり方として非常に参考になる論点を提示していた。山河さん、なかなか鋭いご指摘で、感銘を受けた次第です。さて、山河氏の主張だが、これは中央銀行に金融監督の権限を委ねる場合の問題点を整理したものだ。 現在、米政府は金融監督体制を見直しており、大手金融機関の監督をFRBに委ねることを想定している。このアイデア、中央銀行が最後の貸し手機能(LLR)を果たし、個別の資金繰りもモニタリングしていることを考えると、金融システムにおいて大きな存在である大手金融機関の監督を担うのは合理的にも思える。 ただ、監督機能を担うことは、金融システム安定の責任をフルに背負うことを意味する。ところが、この責任を果たすことが金融政策運営の目的と齟齬をきたすことがあるわけだ。山河氏が指摘したのはまさにこの点である。例えば、インフレが高進している局面で大手金融機関