映像認識における文化的差違 ~空間を空間として認識するか、あるいは平面に置き換えるか~ (1998年3月14日更新) たとえば、 ようやくクレヨンを握れるようになったばかりの幼児に、 絵を描かせてみるとよくわかる。 人間の顔を描くとき、 幼児は肌色のクレヨンを手にする。 そこに顔の形を作るために画用紙を塗りつぶしていく。 塗りつぶした顔の上に、 目鼻を描き足して、 幼児は顔を完成させる。 ところが、ある時期から、 描き方に変化があらわれる。 まず最初に黒のクレヨンを手にして、 顔の輪郭を描きはじめるようになる。 そして、その内側を、 今度は肌色のクレヨンで塗りつぶしていくようになる。 子供は、いつしか「輪郭」という概念を把握するのだ。 しかし、 これは全人類的に共通の変化ではない。 アジアの多くの国ではこのような変化が見られるが、 欧米では違う。 欧米人は、 輪郭という概念を持っていない。