(写真 / 古谷勝 文 / 小林朋寛 協力 / NIKE) 容赦なく照りつける太陽はじりじりと音を立てて肌を焦がすかのよう。遠く望める海はその雄大な青さを湛えて輝いている。リゾート気分を抱えながらごった返す観光客を尻目にWBC世界バンダム級チャンピオンの山中慎介選手(帝拳ジム)は灼熱極まる沖縄で汗を流していた。 9月16日に決定した同級1位アンセルモ・モレノ(パナマ)との世界戦。日本歴代2位となる11度目の防衛がかかるこの試合に向けて、実践練習の前の走りこみを行うために梅雨明けの沖縄がトレーニングの地に選ばれたのだ。 山中選手のプロ戦績は27戦25勝(17KO)2分。「神の左=ゴッドレフト」という異名が物語るとおり彼の武器は数々のKO劇を演出してきた左ストレートだ。しかし、ボクシングを始めた当初はオーソドックススタイルだったのを高校の顧問の助言によりサウスポーにスイッチしたのだという。 「