なぜ組織の上層部ほど無能だらけになるのか、張り紙が増えると事故も増える理由とは、飲み残しを放置する夫は経営が下手……。わたしたちはいつまで金銭や時間など限りある「価値」を奪い合うのか。そもそも「経営」とはなんだろうか。 経済思想家の斎藤幸平氏が「資本主義から仕事の楽しさと価値創造を取り戻す痛快エッセイ集」と推薦する13万部突破のベストセラー『世界は経営でできている』では、気鋭の経営学者が日常・人生にころがる「経営の失敗」をユーモラスに語る。 ※本記事は岩尾俊兵『世界は経営でできている』から抜粋・編集したものです。 勉強は経営でできている 図書館や喫茶店などにおいて一心不乱に教科書や参考書を蛍光ペンでカラフルに塗りたくっている人に出くわすことがある。 みるみるうちに三、四、五本と次々に新しい蛍光ペンが登場して彩りが足されていく。ときどき「ああっ、ピンクがもうないじゃん」などと愚痴をこぼしてい