ロシアによるウクライナ侵攻に直面する隣国ポーランド―ドゥダ大統領の歴史認識を基礎とした対露強硬論の形成― 市川顕 EU政治 、グローバル・ガバナンス論、国際関係論 国際 #安全保障をみるプリズム 1:長期化するロシアによるウクライナ侵攻と隣国ポーランド 2022年2月24日に開始されたロシアによるウクライナ侵攻から6か月が経過しようとしている(注1)。筆者は7月下旬にポーランドを訪問し、政府系および民間シンクタンクとの意見交換を持つ機会を得た。そこでの中心的な話題は、EUおよびEU加盟国による経済制裁を中心とした「脱ロシア化(De-RussianizationもしくはDecoupling Russia)」についてであった。この侵攻開始から、新聞報道や政府要人のスピーチなどを参照してきた身としては、第二次世界大戦でソ連とナチス・ドイツに挟まれ辛酸を舐めたポーランドにおける対露強硬姿勢について