日本がラストチャンスとばかりに開始した「日の丸半導体」ラピダスに多大な公費が追加されていることが話題を集めている今日この頃。 心無い専門家たちからは必ず失敗するだの金ドブだの批判殺到中だが、本当に日本(経済産業省)主導の国家プロジェクトは今まで成功しなかったのだろうか? この記事では主に経済産業省、旧・通商産業省が中心となって始めた国家プロジェクトを振り返る。 超LSI国家プロジェクト(1976年)結論:成功簡単に:半導体製造の基礎研究に成功 大規模集積回路(LSI)の研究、特に基礎研究に力を入れた国家プロジェクト。 当時、半導体弱小国であった日本で700億円以上の金を基礎研究に投資するのは挑戦的であったが、電子ビーム露光技術などの研究レベルのアイディアを実用・量産レベルに持ってくることに成功。 よく「日本は半導体生産はダメだが、生産機械はまだシェアがある」というが、この40年前の国家プロ
日本政府と複数の大手企業が支援するファウンドリスタートアップのRapidusは320億ドル(約5兆円)の資金を投じ、北海道に最初の最先端ファブ(半導体工場)を2027年に稼働させ、半導体の世界市場に参入する予定です。さらにRapidusは2nmプロセスでのチップ製造に加え、同施設内で生産されたチップのパッケージングサービスも提供する方針を明らかにしました。 Rapidus Adds Chip Packaging Services to Plans for $32 Billion 2nm Fab https://www.anandtech.com/show/21411/rapidus-adds-chip-packaging-services-to-plans-for-32b-2nm-fab Japanese chipmaker Rapidus faces logistics hurdles
次世代の最先端半導体の国産化を目指すラピダス。ファウンドリー(受託製造会社)となる同社には、「製造を委託してくれる顧客がそもそもいるのか」という問いがつねに投げかけられていた。今年11月に発表した、とある半導体ベンチャーとの提携が問いへの答えとなりそうだ。 そのベンチャーの名はTenstorrent(テンストレント)。2016年にカナダで設立された、AI(人工知能)向け半導体の設計に特化するファブレス半導体メーカーだ。韓国の現代自動車やサムスングループの投資ファンドなどから累計3億ドル以上をこれまでに調達している。 ラピダスは今後、回路線幅が2ナノ(ナノは10億分の1)メートル世代のAI半導体の開発をテンストレントと進めていくことになる。2025年に試作ライン稼働、2027年に量産開始というスケジュールだ。 両社の提携はどのように実現したのか。まずは、テンストレントがどのような企業なのかを
経済産業省は11月11日、日本における半導体産業を活発化させるための研究開発組織を立ち上げると発表した。半導体製造業やIT企業などの出資によって設立される製造会社「Rapidus」が生産を請け負う。 年内に半導体技術の研究開発拠点「LSTC」(Leading-edge Semiconductor Technology Center)も立ち上げる。今後はLSTCとRapidusの二本柱で開発と生産を進め、2030年までに市場規模100兆円を目指す。 Rapidusには半導体の量産製造拠点として国内トップの技術者を集結。キオクシア、ソニーグループ、ソフトバンク、デンソー、トヨタ自動車、NEC、NTTがそれぞれ10億円、三菱UFJ銀行が3億円を出資した。 取締役会長には元東京エレクトロンの東哲郎氏、代表取締役社長にはウエスタンデジタルジャパンなどの代表取締役を歴任した小池淳義氏が就任する。 19
1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授、法政大学大学院教授などを経て、2022年4月から現職。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。 今週のキーワード 真壁昭夫 経済・ビジネス・社会現象……。いま世の中で話題となっているトピックス、注目すべきイノベーションなどに対して、「キーワード」という視点で解説していきます。 バックナンバー一覧 世界の半導体メーカーの業績が悪化している。不足感から一転、利上げの長期化や景気後退への懸念もあり、半導体市況の「谷」は深まるだろう。ただ、中長期的には「戦略物資としての半導体」の重要性は増すはずだ。目先の市況悪化に耐えつつ設備投資を積み増し新しい製造技術を
最初に全枚葉式についてまとめておく。半導体製造装置の方式は大きく分けて2つある。バッチ式と枚葉式である。 通常はバッチ式と枚葉式の装置をどちらも使う 半導体製造では、シリコンウエハーの上に何度も材料を積んだり、削ったりしたりして、目的とする構造を造っていく。これまでは工程ごとに、バッチ式か枚葉式かを選んで使ってきた。どの工程をどちらの方式にするかは、半導体メーカーのノウハウである。 つまり、これまでも1枚1枚処理する枚葉式は使われていた。ラピダスが他社と違うのは「最初から最後まで枚葉式でやる」という点である。ラピダスが掲げる全枚葉式のメリットの1つ注1)は、処理時間が短縮できるというものだ。 通常のバッチ式と枚葉式の混合方式では、枚葉式の装置を使った後にバッチ式の装置で処理をする場合がある。バッチ式の装置は、必要な処理枚数のウエハーがそろうのを待つ必要があるため、その待ち時間がかかる。すべ
「(これからのAI〔人工知能〕時代に向けて)半導体の製造は根本的に変わらなければならない。特にスピード感だ。従来と比べて半導体の製造期間を半分に短縮することを目指す」 こう力を込めたのは、2022年に設立されたファウンドリーRapidus(ラピダス、東京・千代田) 社長の小池淳義氏である。同氏はベルギーimecが開催した半導体イベント「ITF World 2023」(2023年5月16~17日、ベルギー・アントワープ)で講演し、これまで明らかにしてこなかったラピダスの技術戦略を明かした(図1)。 ラピダスは台湾積体電路製造(TSMC)のようなファウンドリーが主ビジネスとする少量品種の大量生産とは異なり、多品種少量の半導体製造受託を担う考えである。ChatGPTに代表される生成AI技術や自動運転および医療などに使われる画像認識など、AI半導体の需要が拡大を続けている。同社は少量多品種のAI半
「Tenstorrentの設計技術ポテンシャルを最大限に引き出す」とRapidus 協業の中で、TenstorrentはCPUチップを開発し、アクセラレーターチップの開発は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が立ち上げた「AIチップ設計拠点」(AIDC)が担う。Rapidusは2nmプロセスベースの最先端ロジック半導体を製造する技術の有効性を引き出し、その製造を行うことを目指す。 Tenstorrentは2nmノードレベルのAIエッジデバイス開発で必要とされるRISC-V CPU設計技術および、チップレットIP(Intellectual Property)を有している。一方、Rapidusは設計支援/前工程/後工程を一貫して行うことで短TATでの半導体製造を実現する「Rapid and Unified Manufacturing Service(RUMS)」の構築を目指している。
次世代半導体の国産化を目指すラピダスは2月27日、米国の新興企業TenstorrentとエッジAI(人工知能)向け半導体の開発・製造で協業すると発表した。エッジAI向け半導体の開発に定評があるテンストレントと組み、現在、建設中の北海道千歳市の新工場での量産化を目指す。 エッジAIはスマートフォンや電子機器に直接搭載され、データセンターを介さず、その場で処理するため、消費電力を大幅に抑えられる。将来的に自動運転や産業用ロボットなどさまざまな分野での活用が期待されている。両社は23年11月にエッジAI向け半導体の開発で提携していた。 2ナノメートルの設計技術 Tenstorrentは米Appleや米Intelで半導体の設計を手がけたジム・ケラー最高経営責任者(CEO)が2016年に設立。回路線幅が2ナノメートル(ナノは10億分の1)相当のCPU(中央演算処理装置)の設計技術を持つ。 27日に東
TenstorrentのCEO(最高経営責任者)であるJim Keller氏は2023年11月、Rapidusとの提携を結ぶ署名式でスピーチを行い「われわれはRapidusとの初めての会合の時に、とてもエキサイティングな話を聞いた。同社は、新技術開発のイテレーションを高速化し、量産よりも、手持ちの製品のテープアウトを最優先したいというのだ。非常に良い注目点だと思う」と述べた。 日本国内に「CPU/研究開発チーム」を設立予定 TenstorrentにとってRapidusとの契約は、アジアの半導体メーカーとの公的な提携としては4件目となる。Rapidusは、LG Electronicsや、韓国の車載用SoC(System on Chip)メーカーであるBOS SemiconductorともIP(Intellectual Property)ライセンス契約を締結している。またHyundaiは、同社
経済産業省は2024年2月、「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の実施事業者として技術研究組合最先端半導体技術センター(LSTC)を採択した。2nm世代以降の先端半導体開発に向け、計450億円を支援する。 経済産業省(経産省)は2024年2月9日、「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の実施事業者として技術研究組合最先端半導体技術センター(LSTC)を採択したと発表した。2nm世代以降の先端半導体開発に向け、計450億円を支援する。 エッジAIアクセラレーターやBeyond 2nm向けデバイスの開発を目指す 今回、LSTCの採択が決定した研究テーマは「2nm世代半導体チップ設計技術開発」「Beyond 2nm世代向け半導体技術開発」の2件だ。経産省は前者に280億円、後者に170億円の計450億円を支援する。 2nm世代半導体チップ設計技術開発の研究では、2nm世
「技術研究組合 最先端半導体技術センター(LSTC)」は2月9日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ポスト5G 情報通信システム基盤強化研究開発事業/先端半導体製造技術の開発(委託)」において、「Beyond 2nm及び短TAT半導体製造に向けた技術開発」と「2nm世代半導体技術によるエッジAIアクセラレータの開発」について採択されたことを発表した。 LSTC理事長の東哲郎氏は、LSTCの役割について「2nm以降の先端プロセスの開発」と表現。広範に日本の先端技術に関わっていく組織であり、そうした関係性から日本国内のみならず、米国、欧州の研究機関などと連携して、研究開発を進めていくとするほか、半導体製造装置メーカーや材料メーカー、ユーザー企業など幅広い企業とも連携を進める、日本の先端半導体研究の母体となる存在とすることに加え、先端半導体の研究開発のみならず、今後の半導体に携わ
国内で“半導体狂想曲”が鳴りやまない。九州や北海道は大規模な工場建設ラッシュに沸き立つ。一方で、世界的な市況悪化に加えて、建設業に残業規制がかかる2024年問題などが活況に水を差しそうだ。半導体大国復活への道のりには、期待と不安が入り交じっている。(編集委員・鈴木岳志) 台湾・TSMC 早くも第4工場 23年7月、台湾積体電路製造(TSMC)の経営幹部がひそかに来日し、経済産業省幹部らと会談した。主な目的は新工場への補助金の“確約”を得るためだが、対象の新工場は24年春にも着工予定の第2工場ではないという。「第3工場までの補助金確約はすでに得られているので、今回の来日は第4工場に関する交渉だったようだ」(事情通)。水面下の話し合いは想定以上の速さで進んでいる。 熊本県内でも立地に関するうわさが飛び交う。ある地元関係者は「現在菊陽町に建設中の第1工場の隣接地はもはや余裕がなく、第4工場からは
Top NEWS お知らせ IBMとRapidus、戦略的パートナーシップを締結、日本における先端半導体技術と エコシステムの共創を目指す NEWS お知らせ IBMとRapidus、戦略的パートナーシップを締結、日本における先端半導体技術と エコシステムの共創を目指す 新たに設立された先端ロジックファウンドリ会社Rapidusが、2ナノメートル ノード半導体の集積化技術を含む、IBMの先進的な半導体研究開発力の活用を予定 [東京 – 2022年12月13日 発] IBM(NYSE:IBM)とRapidus株式会社は本日、日本が半導体の研究開発・製造におけるグローバルリーダーを目指す取り組みの一環として、ロジック・スケーリング技術の発展に向けた共同開発パートナーシップを締結したことを発表しました。 Rapidusは、日本の主要企業からの賛同を得て設立された先端ロジック半導体に関する研究、開
「日の丸半導体」復活に向け、日本の官民が連携して立ち上げたラピダス(東京都千代田区)の東哲郎会長は2日、ロイターのインタビューに応じ、2020年代後半にも目指す生産ライン立ち上げには7兆円程度の投資が必要になるとの見方を示した。写真は東会長。2月2日、東京で撮影(2023年 ロイター/Issei Kato) [東京 2日 ロイター] - 「日の丸半導体」復活に向け、日本の官民が連携して立ち上げたラピダス(東京都千代田区)の東哲郎会長は2日、ロイターのインタビューに応じ、2020年代後半にも目指す生産ライン立ち上げには7兆円程度の投資が必要になるとの見方を示した。3月にも試作ラインの建設予定地を決め、まずは春までに70─80人を採用する。 ラピダスは昨年11月、トヨタ自動車やソニーグループなど日本企業8社が共同出資で設立した。旗振り役の経済産業省が700億円を支援する。提携した米IBMと共同
「日の丸半導体」は復活できるか 1980年代、日本の半導体産業が半導体の世界シェアの過半を占め、世界を席巻した。 その当時、米国は30%台、アジア諸国はわずか数%に過ぎなかった。 1980年代中頃にはDRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)市場ランキングのトップ5を、日本電気(1位)、日立製作所(2位)、東芝(3位)、富士通(4位)、三菱電機(5位)の日本企業が独占した。 多くの日本人は、彼らを「日の丸半導体」と呼び、強い日本経済の象徴として誇らしく感じていた。 しかし、「日の丸半導体」のあまりの強さは、米国との貿易摩擦にまで発展し、日米半導体協定などをきっかけとして、成長にブレーキがかかる結果となり、結局のところ「日の丸半導体」は凋落した。 日本が凋落した理由については、拙稿「半導体逼迫:TSMCはなぜ強いのか、日本が凋落した理由とは」(2022.6.29)で述べているので、
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