まるで一枚の絵画のような幻想的なパッケージ。「手をつなぐ」というゲームらしからぬ身近でありながら斬新なアクション。説明も指示もなく、言葉が徹底して削ぎ落とされた世界観…… ──そして何よりも“無国籍で神秘的な雰囲気”に満ちている。 2001年12月6日、PlayStation2用ソフトとして発売された『ICO(イコ)』というゲームは、そのいまだかつてないほどに卓越したセンスでもって、多くのプレイヤーのみならず、国内外のゲームクリエイターにも多大な影響を与えたタイトルだ。 その後『ワンダと巨像』、『人喰いの大鷲トリコ』を手がけ、いまや日本を代表するゲームクリエイターのひとりである上田文人氏の才名を広く世に知らしめた傑作である。 上田文人氏 しかし、『ICO』の「どこがどう良いの?」と聞かれると、答えに窮してしまう方も少なくないはずだ。 「手をつなぐ行為がいい」「世界観がいい」「少年と少女の物