ジュリアス・シュミット『散歩するベートーヴェン』(1901年) 〝田園スケッチブック〟に書かれたもの ベートーヴェンは、『シンフォニア・パストラーレ(田園交響曲)』を、単なる自然の模倣ではなく、感情の表現である、としつこいまでに強調しました。 このコンセプトが一番明確に現わされているのが、第2楽章です。 ベートーヴェンは、田舎の自然をこよなく愛しました。 夏には、避暑と療養をかねて、ウィーン郊外ハイリゲンシュタットの大きな農家の部屋を借りて、作曲の構想を練っていました。 ポケットに、浮かんだ楽想を書き留める楽譜帳(スケッチブック)を突っ込み、物思いに耽りながらひとり森を散策するベートーヴェンの姿は、多くの人の心にあるイメージでしょう。 そこは今でも「ベートーヴェンの散歩道」として残っています。 ベートーヴェンの散歩道 ベートーヴェンのスケッチブックには、音符だけでなく、次のような言葉も記さ