静岡県庁の新人職員へ向けた訓示での発言が物議を醸した川勝平太静岡県知事。4月3日の臨時記者会見では「再出馬しない」と宣言し、4月10日に辞表を提出した。川勝知事はリニア中央新幹線の着工に反対し続けたことでも知られる。同氏の辞任が、リニア完成への大きな一歩につながったとする意見も多いが、実はそうではない。 その理由は至ってシンプルだ。静岡県内の環境問題、特に水資源への潜在的な影響に対する地元住民の懸念が依然として大きいだけでなく、プロジェクトの遅れによって静岡工区以外でも2027年までに完成しないエリアが存在することが明らかになったからだ。 本記事では、川勝知事の職業差別発言には触れない。あくまで冷静に、リニアをめぐる過去の事例や最新の工事の進捗を確認したい。 2つの“水枯れ前科” まずは過去の事例から。なぜ静岡県民は水への影響を重く考えているのか。 9キロメートルというごく短い工区に対して