唐鎌直義が紹介していたので読んでみた。 じゅうぶん豊かで、貧しい社会 ――理念なき資本主義の末路 (ちくま学芸文庫) 作者:ロバート・スキデルスキー,エドワード・スキデルスキー 筑摩書房 Amazon サブタイトルが「理念なき資本主義の末路」であることからもわかるように、資本主義批判ではある。 その主張をぼくなりに解釈すると、資本主義が無限の膨張をやめずに、人々がいつまでも満たされないのは、うまく社会の目的設定ができていないからだと考えて、古典からヒントを得た「よい暮らし」を提案する。その「よい暮らし」とは7つの基本的な価値を実現することであり、その価値を実現することを社会の目的にすれば、経済成長はその必要にあわせたものになる、とする。「理念なき資本主義」を逆さまにすれば、「理念のある資本主義」ということになろうか。 このプロセスで、資本主義の自動進化論、反成長論、「幸福」を目的にする議論