コロナ禍で帰省もままならない昨今、ふと懐かしく思い出されるのはおふくろの味かもしれない。「お母さん食堂」に抗議の声を上げた人々は、そこにも性差による家事負担の偏りを見出すのだろうか。男女平等という美名の陰に垣間見える違和感の正体とは――。 *** 〈食事は「お母さん」が作るものと性で役割を固定し、女性の社会進出を拒む〉、〈「お袋の味」と何が違うんだろ? 私にとっては料理上手だった母親のご飯を思い出すし問題ない〉 ネット上で火がついた侃々諤々(かんかんがくがく)の論争は、ウェブメディアや全国紙まで巻き込んで燃え盛るばかりだ。 俎上に載せられたのは、ファミリーマートが展開する「お母さん食堂」。元SMAPの香取慎吾がイメージキャラクターを務める惣菜ブランドは、目下、炎上騒動の渦中にある。 発端となったのは、3人の女子高生による署名活動だった。2019年の夏にガールスカウト日本連盟が、ジェンダー平