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文芸の検索結果361 - 400 件 / 413件

  • スーパー猫の日 - 関内関外日記

    昔、どこかの猫カフェで おれが不老町の交差点を渡ろうとしたときのことだった。おれは閃輝暗点で目の前がよく見えなくなっていたうえに、ひどい頭痛に襲われていた。 ゴツン! おれはなにかにぶつかった。信号は青だったはずだが……。おれが見上げると、そこにはKV-2がそびえ立っていた。 ドッゴーン! 152mm榴弾砲が放たれる。空気が震動する。木っ端微塵になる陸自の74式。そして、「ウラー!」という掛け声とともにコサックたちが横浜市民兵に襲いかかる。対する横浜市民兵は「宮さん宮さん」を流しながら進撃を開始した。 巻き込まれてしまったおれは、とりあえずモスバーガーの中に逃れた。 「ソイモス野菜バーガーのオニポテ・ドリンクセット。飲み物はジンジャーエールで」 窓の外では血を血で洗う戦いが繰り広げられていた。ジンジャーエールを久しぶりに飲んだがこんな味だったっけな。空中で弾丸と弾丸がぶつかるのが見えた。あ

      スーパー猫の日 - 関内関外日記
    • ブレイディみかこさん、初小説「両手にトカレフ」インタビュー 「見えない存在」にされた子どもたちに光を|好書好日

      ブレイディみかこさん ブレイディみかこ(ぶれいでぃ・みかこ)ライター、作家、保育士 1965年生まれ。96年から英国ブライトン在住。2017年、『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』で新潮ドキュメント賞を受賞。19年、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』で、毎日出版文化賞特別賞などを受賞。ほか、金子文子も登場する『女たちのテロル』など著書多数。 「『ぼくイエ』って、ウソだよね」 ――これまでノンフィクションを書いてきたブレイディさんが、今回小説にチャレンジしたのはなぜですか。 きっかけは、息子の一言でした。『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』は、息子の通う英国の元底辺中学校の話なんですが、当の息子が読んだら、「これは幸せな少年の話だよね」と言われてしまって……。あれは、荒れた学校と言われた中学がクラブ活動でダンスや音楽や演劇を思いきりさせたら子ど

        ブレイディみかこさん、初小説「両手にトカレフ」インタビュー 「見えない存在」にされた子どもたちに光を|好書好日
      • 絓秀実的な、あまりに絓秀実的な「なごやトリエンナーレ」論|外山恒一

        【外山恒一の「note」コンテンツ一覧】 ※絓秀実氏の(とくに『革命的な、あまりに革命的な』第9章で赤瀬川原平を絶賛した部分の)文体模写(一部まるパクリ)です。正確には、文体模写と丸写しの中間、“替え歌”ぐらいでしょうか。内容に関しては、私自身もところどころ自分で何を云っているのか分かりません(笑)。 「なごやトリエンナーレ」事件を、それを担った者たち自身もおそらくは(肯定的であると否定的であるとにかかわらず)参照していると思われる赤瀬川原平らのかつての一連の「反芸術」運動の文脈において(のみ)捉えることは、赤瀬川らが、例えば「反芸術」としての模型千円札の「芸術」たるゆえんを述べることで無罪を主張し、「反芸術」を従来の「芸術」の文脈に回収してしまう限界を露呈したことに比して、「なごやトリエンナーレ」の担い手たちがあくまで自らの有罪性を引き受けようとしているという決定的な差異から目をそらし、

          絓秀実的な、あまりに絓秀実的な「なごやトリエンナーレ」論|外山恒一
        • エレクトロニック動き対最強米帝艦隊(未完) - 関内関外日記

          ポケットロケットブースターの噴射が終わったおれはヴェルニー公園の歩道に激しく体を打ちつけられた。ボロボロのジャージがさらに擦れて、破れた。 おれはフー・マンチューに授かった超電磁アンテナで目的の米帝艦船を探査した。対ESP要員の妨害が入ったが、即座に脳を焼き切って殺した。この任務が露見するのは前提だ。なにより必要なのはスピードだった。 話は3日前に遡る。おれは寿町の喫茶「つどい」にいた。紙パックから注がれたアイスコーヒーを飲みながら、目の前の男の目を見ていた。男の目は濃いサングラスに遮られて見えなかったのだけれど。 「これが、ブツだ」と男。 「これが、ブツか」とおれ。 おれはブツを受け取った。そして、アイスコーヒーのグラスを乾杯するように持ち上げた。サングラスの奥で男の視線が動いた。そして男の記憶は過去28日間に渡って失われた。フー・マンチューから授かった超電磁記憶消去能力サイキックを使っ

            エレクトロニック動き対最強米帝艦隊(未完) - 関内関外日記
          • 疲れてる、そして悲しい(ちょっとHで面白い! あなたが主役の「かくし芸」) - 関内関外日記

            疲れている。 この疲れは、精神疾患と関連している抑うつや倦怠とは違う。それはおれの身体をよく知っているおれがそう言っているのだから、そうなのだ。 というわけで、この疲れは……単なる疲れ? どういっていいかわからない。むしろ、おれの身体をよく知っているおれだからこそ、精神疾患と関連した疲れを把握できていない可能性もある。 というわけで、うんざりしているので、とくに書くこともない。 新しいノートパソコンをセットアップ(というほどたいしたことでもないのだが、昔に比べて)しても、さて何をしようということもない。 気温が下がってきて、ロードバイク(おれのすばらしいコルナゴ)に乗ろうかとか、ちょっと走ろうかという気もしない。 たとえば、上の写真はなんだろうか。iPhoneから適当にアップしたものだ。撮ったときは、なにかおもしろいと思ったのだろう。なにがおもしろいのか。お面手ぬぐいが2枚ついてくるところ

              疲れてる、そして悲しい(ちょっとHで面白い! あなたが主役の「かくし芸」) - 関内関外日記
            • 「石川に住まなければ小説を書くこともなかった」 芥川賞受賞の九段理江さん、被災した「第二の故郷」への思いつづる:北陸中日新聞Web

              この原稿を書いている15日も大雪で、石川県輪島市の火災現場の捜索が中断されたとの報道を見ました。震災があってから、能登や輪島に行った時の写真を見返すことが多いのですが、いつも雪が降っている写真です。大雪の日の凍えるような寒さを思い出すと、今、地域にお住まいの皆さまがどれほど不安な思いでいらっしゃるだろうかと考え、胸が痛みます。 私は金沢市に1年、能美市に2年半ほど住んでいただけで、「金沢ゆかりの」などと取り上げていただくのはなんだか厚かましいのですが、それでも個人的には第二の故郷のような思いが強くあります。10年前に東京での仕事をやめ、思いきって金沢へ移住した際には知り合いも一人しかいない状況でしたが、アルバイトをしていたオヨヨ書林さんをはじめ、地域のみなさまにとても親切にしていただきました。

                「石川に住まなければ小説を書くこともなかった」 芥川賞受賞の九段理江さん、被災した「第二の故郷」への思いつづる:北陸中日新聞Web
              • 「人間は“生贄”を選びたがる。それは五輪でも」新直木賞作家・佐藤究が凄惨な暴力描写に込めた思い | 文春オンライン

                ――このたびは『テスカトリポカ』の直木賞受賞おめでとうございます。昨日、発表まではどのように過ごされたのですか。 佐藤究(以下、佐藤)担当編集者2人と会議室にいて、だらだらと過ごしていました。受賞の連絡の電話がくる時、僕はいつも一緒にいる人たちに結果が分からないように受け答えをするんです。「はい、はい、そうですか」と言って、切ってから「どっちだと思う?」って。 山本周五郎賞を受賞した時はうまくいったんですが、今回は電話の向こうの声が漏れていたようで、聞き取られてしまいましたね。 ――ずいぶん落ち着いてらしたんですね。 佐藤 プレッシャーがかかる場面というのは作品を印刷所に出す直前までなんですよ。そこが作品の完成度が決まる天下の分け目で、その後のアワードに関して僕がワーッとなるようだったら、作品で力を出し尽くしていないということですよ。受賞したからといって作品の中身ががらっと変わるわけでもな

                  「人間は“生贄”を選びたがる。それは五輪でも」新直木賞作家・佐藤究が凄惨な暴力描写に込めた思い | 文春オンライン
                • 朝井リョウが語る、小説家としての心境の変化 「不確定な状態が自然なんだと受け入れられた」

                  朝井リョウの新作小説『正欲』(新潮社)が、各所で話題だ。作家生活10周年を記念する作品となった『正欲』は、朝井にとって「小説家としても一人の人間としても、明らかに大きなターニングポイントとなる作品」であり、実際に書きながら様々な発見があったという。作品の特性からあらすじの詳述は控えるが、人間の欲望や社会の眼差しといったものについて考えさせられる作品であり、特設サイト(https://www.shinchosha.co.jp/seiyoku/)では刺激的な感想が並んでいる。本書はどのように執筆されたのか、ライターの速水健朗が迫った。(編集部) 自分の意思というものは、本当はないんじゃないか 朝井リョウ『正欲』(新潮社) ーー小説で「社会の見方が変わる」ことってありますよね。『正欲』は世の中の規範が変わりつつある時代の中で、「ダイバーシティ」とか「新しい生活様式」といった言葉とともに書かれてい

                    朝井リョウが語る、小説家としての心境の変化 「不確定な状態が自然なんだと受け入れられた」
                  • 古市憲寿「百の夜は跳ねて」芥川賞選評が辛辣で驚いた。米光一成の表現道場 - エキサイトニュース

                    芥川賞選評が凄いことになっている。 候補作のひとつ古市憲寿「百の夜は跳ねて」について、である。 (おっと、そのまえに、第161回上半期芥川賞受賞作は、今村夏子「むらさきのスカートの女」である。傑作だ) 古市憲寿は、2011年に新書『希望難民ご一行様 ピースボートと「承認の共同体」幻想』でデビュー。 『絶望の国の幸福な若者たち』『保育園義務教育化』『誰の味方でもありません』などの著作がある。 コメンテーターとして、数々のテレビ番組に出演。 その語り口は、「暴言すぎる!」とか「生意気だ」などと中高年から評されるが、ただ空気を読まずストレートに考えを述べてるだけだろう。 「家ではチョコしか食べない」と、めちゃくちゃ甘いもの好きである。 2018年、「平成くん、さようなら」で第160回芥川龍之介賞候補。 さらに、今回、「百の夜は跳ねて」で第161回芥川龍之介賞候補になる。 古市憲寿「百の夜は跳ねて

                      古市憲寿「百の夜は跳ねて」芥川賞選評が辛辣で驚いた。米光一成の表現道場 - エキサイトニュース
                    • ナボコフとの出会い|ProPara

                      人が読者として、ある作品と出会い、ある作家とめぐり会う。そのかたちは人さまざまだ。ここでは、わたしがどのようにナボコフと出会ったかを綴ってみる。それは結局、本を読むという行為はどういうことなのか、という問題を自問自答することになるだろう。 わたしがナボコフと出会ったのは、今から三十年ほど前の話である。だんだん記憶が薄れていくので不確かだが、大学院生のときだったのは間違いない。最初に読んだのは『セバスチャン・ナイトの真実の生涯』である。そしてそれから一年くらいの期間に、ナボコフのほぼすべての小説を読み尽くした。それでも飽きたらずに、折にふれて再読を繰り返しているうちに、いつのまにかナボコフが自分にとっていちばん大切な作家になってしまった。 どうしてそんなにナボコフに入れ込むようになってしまったのか。その理由を語り出すと長くなるが、こうである。 わたしは文学部の学生になる以前、高校の数学教師を

                        ナボコフとの出会い|ProPara
                      • 「こんなところにいる女性は一生独りだ」「全員処女らしい」… 女性専用アパートのカフェに“資金だけ出す”男性に、柚木麻子が感じた“いい加減”さ | 文春オンライン

                          「こんなところにいる女性は一生独りだ」「全員処女らしい」… 女性専用アパートのカフェに“資金だけ出す”男性に、柚木麻子が感じた“いい加減”さ | 文春オンライン
                        • 呉座勇一 『武士とは何か』 | 新潮社

                          平安後期から戦国時代にかけて、政治・社会の中心にいた中世武士。日常的に戦闘や殺生を繰り返していた彼らのメンタリティーは、『葉隠』『武士道』で描かれた江戸時代のサラリーマン的な武士のものとはまったく異なっていた。史料に残された名言、暴言、失言を手がかりに、知られざる中世武士の本質を読みとく画期的論考。

                            呉座勇一 『武士とは何か』 | 新潮社
                          • ノーベル文学賞秘話|NHK

                            スウェーデン・ストックホルムの旧市街は、中世からの建物に石畳の細い坂道が入り組み、歩いているだけでなんとも歴史を感じさせる場所だ。 その中心地に位置する広場に、ノーベル文学賞の選考を行う「スウェーデン・アカデミー」がある。 先月、私は、アカデミーの閲覧室に入っては、連日、膨大な量の文書と格闘していた。 読み込んでいたのは、アカデミーに保管されるノーベル賞の選考過程を記した資料だ。これらの資料は50年にわたる秘匿期間を経て、見ることができるようになる。 来年1月には川端康成が受賞した1968年の資料が公開されるため、それ以前の資料を改めて徹底的に調べ直そうと考えたのだ。 情報公開請求を行った資料は、谷崎潤一郎と詩人の西脇順三郎が初めて候補となった1958年から67年までの10年分。 リサーチャーの助けを借りながら250ページにのぼる資料を読み進めていくと、これまで目にしたことのないある資料に

                              ノーベル文学賞秘話|NHK
                            • イヴァン・ニトロエフボンバノスキーの労働(未完) - 関内関外日記

                              イヴァン・ニトロエフボンバノスキーは軽ワゴンをとめると、「信頼する水を工事」と書かれたキャップを被った。工具箱を持って、その屋敷……今どきめずらしい大きな一軒家のインターホンを押した。 「ご連絡いただきました水道の工事にまいりました」 イヴァンの日本語は日本生まれの日本語話者と区別がつかないほど流暢だ。しかし、イヴァンの生まれはサハ共和国のスレドネコムリスクだ。新生神聖親政大ロシア協力協和帝国連邦の「大破局」の影響で、5年前に日本の北海特別領域に逃れてきた。それ以来、いくつかの職で食いつなぎながら、首都大都市東京にたどりついた。今の仕事は水道工事の出張サービスだ。 「お待ちしていました。どうぞ」 と、インターホンから若い女の子の声がすると、門がオートマチックに開いた。誘導ホログラムが勝手口ドアへのルートを示した。 勝手口から現れたのは、平成後期型のメイド服を来た女だった。青白い顔色、目の下

                                イヴァン・ニトロエフボンバノスキーの労働(未完) - 関内関外日記
                              • 「天国で会おうよ」と「もっと人と接しなさい!」…アニメ『君の膵臓をたべたい』“僕”と桜良はなぜ電柱の左側にいたのか | 文春オンライン

                                住野よるの『君の膵臓をたべたい』は、もともとは小説投稿サイト「小説家になろう」に発表された作品だ。これが2015年に商業出版され、本屋大賞第2位に選ばれるなど大きな話題を呼んだ。原作小説は「僕」の一人称で進行するところに小説としての仕掛けがある。しかしこれは小説ならではの仕掛けなので、登場人物が基本的に客観的視点で描かれる映像化の場合は、大きな武器にはならない。 主人公の「僕」は高校生。「僕」は病院で偶然「共病文庫」というタイトルの文庫本を拾う。それは「僕」のクラスメイトである山内桜良(やまうち・さくら)の闘病記だった。彼女はそこに、自分が膵臓の病気でもう長くはないということを綴っていた。偶然、桜良の秘密を知ってしまった「僕」は、彼女のさまざまな「死ぬ前にやりたいこと」に付き合わされることになる。そして思わぬ形で2人の別れはやってくる。 興行収入34億を超えた実写映画『君の膵臓をたべたい』

                                  「天国で会おうよ」と「もっと人と接しなさい!」…アニメ『君の膵臓をたべたい』“僕”と桜良はなぜ電柱の左側にいたのか | 文春オンライン
                                • ゆく年くる年、何を読む?早川書房2019海外文芸総ざらい|Hayakawa Books & Magazines(β)

                                  年の瀬が迫ってまいりました。みなさん、年末年始の読書の予定はお決まりですか? 「読みたい本がほかにもたくさんあるから長すぎず、でも読み応えのあるものを読みたい」「海外文学を読みはじめたいけど長すぎると心が折れる」「時間があるから長篇の世界にじっくり浸りたい」などなどあらゆる要望に応えるべく、2019年に早川書房が刊行した海外文芸を、ページ数と独断と偏見でライト級、ミドル級、ヘヴィー級の3階級に分類しました。各作品、担当編集の激推しおすすめコメントつきです! ライト級 『ビール・ストリートの恋人たち』 ジェイムズ・ボールドウィン/川副智子訳 四六判上製 本体価格2,200円+税 288ページ 恋人が冤罪で収監されてしまったら。そんなむごい状況を描いた小説ですが、詩的な文章にとにかくうっとり。60~70年代の音楽を聴きながら読むのもいいですね。すばらしい映画版もぜひチェックしてみてください。(

                                    ゆく年くる年、何を読む?早川書房2019海外文芸総ざらい|Hayakawa Books & Magazines(β)
                                  • 研究の話 | ちくさ病院(名古屋市千種区今池駅)

                                    はじめに 私はもともと腎臓内科医でしたが名古屋大学大学院に入学したころ、 大学院生の規則で最低1年は基礎の研究室で研究しなければならないという規則ができました。 適当に籍だけおいてお茶を濁す医局もあったとは思うのですが、 私は実際に基礎の医局(微生物学教室)に派遣され研究に専念することになりました。 1年が経ちましたが天邪鬼な性格のせいでそのまま放置され、大学院修了後に至っては帰局しろとも言われなかったので、 そのまま基礎の教室の助手として居座ってしまいました。 就職して2年たったころ、教授から呼ばれ「米国の研究室に留学するように」命令を受けました。 「どこに留学するのですか?」と聞いたのですが、「どこでもよい」とのことで、とりあえず気候のよいカリフォルニアで研究室を探していただく ことにしました。もちろん私のような実績もない研究者に給料をだして雇ってくれる研究室などあるわけもなく、サンデ

                                      研究の話 | ちくさ病院(名古屋市千種区今池駅)
                                    • 土蜘蛛 - 関内関外日記

                                      夜、ぼくは近くの公園の外周をウォーキングしていた。歩くのは健康にいい。医者もそう言っている。この季節は少し寒いけれど、歩く人も走る人も少なくていい。 モヒニ・デイのベース・プレイを聴きながら、適度なスピードで歩く。向こうから女性が一人歩いてくる。ウォーキングだろうか。まわりが暗くて、長い髪と白い服がぼんやり見えるだけだ。ぼくは、ぶつからないように少し進路をかえた。 その瞬間だった。女性の顔がものすごい光を放った。ぼくはなにが起こったかわからず、目をふさぎ、腕で顔を覆った。何秒か経って、目を開いた。女性はそこにいた。顔は蛍光灯ていどの光を放っている。 すると、女性は植え込みの方に走り込んでいった。ぼくは思わずそちらに向かった。恐怖心もあったが、なにか知りたい気持ちが大きかった。 植え込みの向こうの空間、そこに土蜘蛛がいた。とびきり大きな土蜘蛛と、少し大きな土蜘蛛、中ぐらいの土蜘蛛、小さな土蜘

                                        土蜘蛛 - 関内関外日記
                                      • 緊急対談! AIは電子図書館の夢を見るか?~ChatGPTに聞く、これからの図書館とAIの関係(LRG連載早期公開企画第1弾) - かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

                                        引っ越し報告を書いてから4年間、完全にブログを放置してしまっていました……(汗) と言ってもTwitterは(私事は稀にしか書かないけど)やっていますし、はてなブックマークとか、いろいろなところで連載を持ったり発表したり論文を投稿したりはしていたので、消息ご存知の方も多いかとは思いますが。 ちなみに佐藤のプライベートを含む近況がもっとも書かれているのは『ライブラリー・リソース・ガイド(LRG)』連載のプロフィール欄末尾だったりします。 arg-corp.jp 今回はそのLRG連載との連動企画。 最近話題のChatGPTと、インタビュー形式でこれからの「図書館とAIの関係」について討論してみたよ……というネタをやったのですが。 openai.com ChatGPTとの対談の様子 いつもの連載の倍くらいの分量になったので分割される可能性があるうえ、掲載号が刊行される頃にはとっくにブームが去って

                                          緊急対談! AIは電子図書館の夢を見るか?~ChatGPTに聞く、これからの図書館とAIの関係(LRG連載早期公開企画第1弾) - かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)
                                        • https://twitter.com/MANOHIKO/status/1590998492679655424

                                            https://twitter.com/MANOHIKO/status/1590998492679655424
                                          • 親を「しょうがない」と割り切ることで親子関係が変わる/村井理子×こだま対談<前編> | 女子SPA!

                                            どんなに時代が変わっても、家族関係の悩みは尽きることがありません。実体験をもとにした小説『夫のちんぽが入らない』でデビューし、家族や日常について、赤裸々かつユーモラスに書き続けているこだまさん。 翻訳家として多数の著作を手がけながら、崩壊した自身の家族についてのエッセイ『家族』や、認知症の義母の日常を書いた『全員悪人』など、多くの家族エッセイを書いている村井理子さん。 こだまさんと村井さんは、その圧倒的な筆力で、自身の家族をときにユーモラスに、ときにままならない他者として描き、家族に悩む多く人々の共感を得てきました。今回、初対面となったふたり。家族エッセイの是非や、親との確執を克服したきっかけ、父親たちのおかしな終活について語りました。 村井:こだまさんはエッセイを書いていることを誰にも知られてないんですか。 こだま:そうですね。家族にすら話してないです。 村井:これだけ短期間で何冊も出さ

                                              親を「しょうがない」と割り切ることで親子関係が変わる/村井理子×こだま対談<前編> | 女子SPA!
                                            • 秋の野原を行く - 関内関外日記

                                              おれはジャージを着て秋の野原をずったらずったら歩いていた。この世界はどうかしちまって、ジャージで心地よくすごせる季節が減ってるみたいなんだ。季節までおれに嫌がらせをするのか。おれは腹が立ってしまって、そこらへんの草をむしり取って、投げ捨てた。 「おい、きみ、草がかわいそうじゃないか」 いきなり話しかけられた。声の主をみてみると、一匹のタヌキがいた。戯画化されたタヌキなんかじゃない。『ダーウィンが来た!』の定点カメラに映ってるようなリアルなやつだった。 「リアルなタヌキが話すなよ」とおれ。 「それは問題じゃないんだ、命は大切にしなきゃいけない」とタヌキ。 煮て食ってやろうかと思ったが、あいにくおれのポケットにはiPhone 14 Proしか入っていなくて、タヌキを殺すのは無理だった。きみたちは素手でタヌキを殺せるか? 「もう、そういうのは聞き飽きたんだ。世界は絶望しているってなんでわからない

                                                秋の野原を行く - 関内関外日記
                                              • 「小説トリッパー」編集長・池谷真吾が語る、文芸誌の領域 「境界線はなくなり〈すべて〉が小説になった」

                                                小説雑誌は一般的に純文学系とエンタテインメント系に大別できるが、季刊「小説トリッパー」は、両方を扱っている点に独自色がある。また、朝日新聞出版という大手新聞社系の版元からの発行なのも特徴だ。昨年は今村夏子『むらさきのスカートの女』が同誌掲載作で初の芥川賞を受賞し、2020年夏季号で創刊25周年を迎えた。 池谷真吾編集長に「小説トリッパー」の歩みとともに、前歴である角川書店(現KADOKAWAグループ)での経験、吉田修一『悪人』、角田光代『坂の途中の家』など担当した書籍についても語ってもらい、1990年代からの文芸の流れをふり返った。(10月21日取材/円堂都司昭) 「野性時代」のアルバイトからキャリアがスタート ――この世界にどういう風に足を踏み入れたんですか。 池谷:就職活動に失敗しまして、どこからも採用されませんでした。1992年のことです。年が明けて、もう大学も卒業という時に、友人が

                                                  「小説トリッパー」編集長・池谷真吾が語る、文芸誌の領域 「境界線はなくなり〈すべて〉が小説になった」
                                                • 「多様性について考えてくれただけでありがたい」とは思わない。『ジャクソンひとり』の“復讐”が意味するもの【芥川賞候補作】

                                                  「多様性について考えてくれただけでありがたい」とは思わない。『ジャクソンひとり』の“復讐”が意味するもの【芥川賞候補作】 アフリカのどこかと日本のハーフで、昔モデルやってて、ゲイらしい――。職場でそう噂される「ジャクソン」が主人公。「この軋轢や諦念、あるいは幸福を、日々“当然のこと”として生きている誰かへ」【安堂ホセさんインタビュー】

                                                    「多様性について考えてくれただけでありがたい」とは思わない。『ジャクソンひとり』の“復讐”が意味するもの【芥川賞候補作】
                                                  • Salman Rushdie: Author in surgery after being stabbed on stage

                                                    The author, 75, has suffered years of Islamist death threats since writing The Satanic Verses.

                                                      Salman Rushdie: Author in surgery after being stabbed on stage
                                                    • 『夫のちんぽが入らない』のエッセイスト・こだまの「特殊能力」とは?

                                                      「向いているかは、まだわからない。でも意外とやれている」 喫茶店でホール担当のバイトを始めて二ヶ月経った頃、エッセイの締めに書いた文章である。 初夏から晩秋までの契約だった。覚えることがたくさんある。同じ失敗を繰り返して叱られている。だけど、最終日にはこの店の一員として認められるような動きを身に付けていたい。この調子で覚えていけば、きっとできる。そんな夢を見ていたのである。 目を覚ませ。店の裏山の清流で顔を洗え。何が「意外とやれている」のか。信じられないことに、私は二ヶ月目の情けない働きぶりをキープしたまま最終日まで走り続けたのであります。伸びしろがありませんでした。 叱られても一向に変わらないほうがむしろ難しいだろ。 まあ、まだ教えたばかりだしな。これから慣れていくよな。皿を割るのも今だけだろう。店主もはじめは内心そう思っていたはずだ。しかし、私はいつまで経っても皿を割り、注文を聞き間違

                                                        『夫のちんぽが入らない』のエッセイスト・こだまの「特殊能力」とは?
                                                      • 「“何者にもならない”人を書きたい」新直木賞作家・澤田瞳子が〈時給940円のアルバイト〉を15年続ける理由 | 文春オンライン

                                                        ――このたびは『星落ちて、なお』の直木賞受賞、おめでとうございます。昨日は発表までどのように過ごされたのですか。 澤田 担当の方たちと数名でご連絡を待っていたのですが、久留米で東山彰良さんが葉室麟さんのお友達の方たちと一緒に待ち会をしてくださっていて、そちらとビデオ通話をしたりしていました。 そんな最中に高校時代の後輩から、「直木賞にノミネートされているなんて知らなかった!」ってメッセージがきたりして。スマホが光るたびに担当編集者さんがちらっちらっと気にしてらっしゃる状態が長く続き、その挙句の果ての受賞の連絡でした(笑)。 ――楽しそう(笑)。受賞作『星落ちて、なお』は明治期の話で、主人公は日本画家、浮世絵師の河鍋暁斎の娘、とよ(河鍋暁翠)ですね。 澤田 天才の子どもに興味があったのです。その一方で、河鍋暁斎にもずっと関心はあったんですが、ああいう非凡な絵師を主人公にすると以前書いた『若冲

                                                          「“何者にもならない”人を書きたい」新直木賞作家・澤田瞳子が〈時給940円のアルバイト〉を15年続ける理由 | 文春オンライン
                                                        • https://twitter.com/kota_draw/status/1634141226088771584

                                                            https://twitter.com/kota_draw/status/1634141226088771584
                                                          • 「自分が自分じゃなくなるってそんなに悪いこと?」鬱で確変して分かったこと【こだま】|ウートピ

                                                            『いまだ、おしまいの地』インタビュー・前編 「自分が自分じゃなくなるってそんなに悪いこと?」鬱で確変して分かったこと【こだま】 『夫のちんぽが入らない』で鮮烈なデビューを飾った作家のこだまさんによる2冊目のエッセイ『いまだ、おしまいの地』(太田出版)が9月に発売されました。 第34回「講談社エッセイ賞」を受賞した前作『ここは、おしまいの地』の続編。北の荒野「おしまいの地」で、詐欺師にお金を振り込んでしまったり、晴れ舞台に立つ直前に自然災害に巻き込まれたりと、相変わらず“ちょっとした事件”に巻き込まれるこだまさんや周りの人々の日常がつづられています。 前作との違いや心境の変化についてこだまさんに話を聞きました。前後編。 嫌だったことは無理に自虐に落とさない ——『いまだ、おしまいの地』を執筆されるにあたり意識したことはどんなことですか? こだま:前作の『ここは、おしまいの地』は過去の話がメイ

                                                              「自分が自分じゃなくなるってそんなに悪いこと?」鬱で確変して分かったこと【こだま】|ウートピ
                                                            • ホストたちの「万葉集」 歌舞伎町の虚実、短歌に込める:朝日新聞デジタル

                                                              ","naka5":"<!-- BFF501 PC記事下(中⑤企画)パーツ=1541 -->","naka6":"<!-- BFF486 PC記事下(中⑥デジ編)パーツ=8826 --><!-- /news/esi/ichikiji/c6/default.htm -->","naka6Sp":"<!-- BFF3053 SP記事下(中⑥デジ編)パーツ=8826 -->","adcreative72":"<!-- BFF920 広告枠)ADCREATIVE-72 こんな特集も -->\n<!-- Ad BGN -->\n<!-- dfptag PC誘導枠5行 ★ここから -->\n<div class=\"p_infeed_list_wrapper\" id=\"p_infeed_list1\">\n <div class=\"p_infeed_list\">\n <div class=\"

                                                                ホストたちの「万葉集」 歌舞伎町の虚実、短歌に込める:朝日新聞デジタル
                                                              • 平野啓一郎氏、五輪選手村からの外国人選手向けバスツアー計画に怒り「舐めてんのか」 - スポーツ報知

                                                                芥川賞作家の平野啓一郎氏が12日、自身のツイッターを更新。新型コロナウイルスの感染再拡大の中での開催が危惧される東京五輪の選手村から外国選手らを乗せて都内の観光名所を巡るバスツアーが計画されていることに怒りをあらわにした。 この日、選手村の宿泊者は新型コロナウイルス感染防止策で外部との接触が遮断され、観光地などに足を向けられないが、バスの中から景色を眺める分には問題ないと判断。大会組織委員会の橋本聖子会長も13日の開村に向け、選手らを迎える検討に入っているという記事を貼り付けた平野氏。 「納税者は緊急事態宣言でステイホーム。舐めてんのか、と」と厳しい筆致でつづると、「国民の精神的な健康のためのプログラム、なんかやったか?」と疑問を呈していた。

                                                                  平野啓一郎氏、五輪選手村からの外国人選手向けバスツアー計画に怒り「舐めてんのか」 - スポーツ報知
                                                                • 坂東夫人(磯崎愛) - カクヨム

                                                                  あれほど祝福されて結婚したのに、子どもを育てるにはいい場所だと説得されて引っ越したのに、何もかも違ってしまった――と嘆く主婦・平野陽子の物語。 かつて美大生だった陽子はあるきっかけで絵画教室に通いだす。そこで講師の山本から絵画の公募展の新人賞に応募しないかともちかけられる。ひさしぶりに絵を描くことができて喜ぶ陽子に山本は急接近してきて―― 不倫相手、夫、義母、義理の姉、両親、旧友、それぞれの関係を見つめなおし、最後に陽子が選んだのは? 該当する〇 やや当て嵌まる△ なし× 1. LINE・マッチングアプリ等がからんだ浮気やサレ妻 〇 2. 全般的なサレ妻 〇 3. セックスレス × 4. 夫・彼氏がいても好きな人ができた 〇 これで登録 5. ママ友 × 6. モラハラ・DV △…続きを読む

                                                                    坂東夫人(磯崎愛) - カクヨム
                                                                  • 書き出し小説大賞第184回秀作発表

                                                                    雑誌、ネットを中心にいろいろやってます。 著書に「バカドリル」「ブッチュくんオール百科」(タナカカツキ氏と共著)「味写入門」「こどもの発想」など。最近は演劇関係のお仕事もやってます。 前の記事:書き出し小説大賞183回秀作発表 > 個人サイト バカドリルHP 天久聖一ツイッター 月に一、二度行く近所の家系ラーメン屋はごはんが無料で、巨大な炊飯ジャーの隣には、キン肉マンのイラストが貼られており、その吹きだしには「ジャーのフタは静かに閉めてくれよな!」と書かれている。 それでは今週も、めくるめく書き出しの世界へご案内しよう! 書き出し自由部門

                                                                      書き出し小説大賞第184回秀作発表
                                                                    • OHTABOOKSTAND

                                                                      大自然に囲まれ、娯楽も何もない“おしまいの地”に生まれ育ったこだまさん。大好評「おしまいの地」シリーズの不定期連載。こだまさんの周りで起こる悲喜こもごもの不思議な出来事をお...

                                                                        OHTABOOKSTAND
                                                                      • 【お恵み】ロシアから届いたウオッカ【ロシア】 - 関内関外日記

                                                                        ロシアからウオッカが届いた。お恵みものだ。ロシアからというのは嘘だ。そもそもアブソルート・ウオッカはスウェーデン製だ。だからといって嘘だといっていいのか。ロシア人は言う。「ロシアにウオッカがあるのではない。ウオッカがある場所がロシアである」と。となるとスウェーデンもロシアである。無論、ウオッカが届けられたここ神奈川県横浜市中区もロシアに違いない。おれはロシアでウオッカを飲む。まだ暑いとき、おれはウオッカを一本冷凍庫に仕込んである。キンキンに冷えて、なおかつとろみのあるウオッカを飲む。あれだけキンキンに冷えて、とろみのある飲み物がほかにあるか? とろみのある飲食物というのは、だいたい熱すぎて舌を火傷する系統のものばかりだ。ロシアではそんなことはない。シベリアの極寒で、おまえはとろみのあるウオッカを飲む。舌ではなく喉を焼く。そこがロシアだ。ウオッカを薄めてはいけない。ただ、ホワイト・ロシアンを

                                                                          【お恵み】ロシアから届いたウオッカ【ロシア】 - 関内関外日記
                                                                        • 佐藤二朗が未発表シナリオを初公開!「このまま闇に葬るのも悔しい」 | AERA dot. (アエラドット)

                                                                          個性派俳優・佐藤二朗さんが日々の生活や仕事で感じているジローイズムをお届けします。今回は、自身が執筆した映画シナリオの一部をご紹介するスペシャル回です。 【画像】佐藤二朗、仏のような笑顔 *  *  * 執筆はしたものの、金銭面などの理由で撮影に至らずにいる映画シナリオが僕には数本ある。このまま闇に葬るのも悔しいので、今日は特別に、その中から、ある映画シナリオの一部抜粋をお届けする。 以下、映画「ヤマナミ(仮題)」(2011年1月5日脱稿)の一部抜粋(冒頭部分)。※ちなみに「一通(いっつう)」の役を僕がやるつもりでした。※12年前に書いた脚本で、古さを感じる箇所もありますが、あえてそのまま掲載します。 ○どこかの一室 白いガウンを着て、ソファに座っている男、一通。 ベッドに浅く腰掛けている若い男、河崎。 二人は小声でボソボソと何やら言い合っている。 一通 「なんで?いいじゃん、なんで?」

                                                                            佐藤二朗が未発表シナリオを初公開!「このまま闇に葬るのも悔しい」 | AERA dot. (アエラドット)
                                                                          • 【寄稿】現在のアメリカ社会を考える:池田年穂氏|慶應義塾大学出版会 Keio University Press

                                                                            黒人男性のジョージ・フロイド氏が警察官に首を押さえつけられて亡くなった後、人種差別に抗議するデモが、Black Lives Matter 運動(BLM 運動)としてアメリカ全土で拡大を見せており、終息が見えない事態となっている。 そのような状況のもと、アメリカであらためて注目を集めている書籍がある。アフリカ系アメリカ人作家、タナハシ・コーツ著の『世界と僕のあいだに』(原題:Between the World and Me)だ。この作品は2015年発売以来アメリカ国内で大きな話題を呼び、これをきっかけにコーツはアフリカ系を代表する作家の一人となった。 ここでは、『世界と僕のあいだに』の日本語版訳者である 池田年穂氏に、タナハシ・コーツの作品を通じて見えてくる現代のアメリカ社会について、ご寄稿いただいた。 タナハシ・コーツ Ta-Nehisi Coates (13 July 2015) by

                                                                              【寄稿】現在のアメリカ社会を考える:池田年穂氏|慶應義塾大学出版会 Keio University Press
                                                                            • 誕生 - 肉芽観察記

                                                                              それは 小さな瞬きでした ろうそくよりも淡く 夢のようにおぼろげな 小さな瞬きでした はるか遠くのどこか 時のむこうのいつか 誰も知ることもなく そっと生まれた 瞬きでした

                                                                                誕生 - 肉芽観察記
                                                                              • 寓意 - 肉芽観察記

                                                                                寓話をグツグツ煮て出てきたものがアフォリズムだとしたらそんなものは捨ててしまおう。隠喩と換喩にしか言葉は還元できないのだとしたら、それは圧縮と置換の言い換えなのでそれは夢の作業と同じなのだ。あなたがもし詩を書こうと思うのならば、お願いだからその枷を破ってほしい。ただの精神作用に過ぎないものはアルゴリズムとランダム性だからだ。私の書くものがそこに落ち込まないように広場を用意してほしい。あなた達と手を取り合うこともなしに、私一人で泣き叫ぶ場が必要になるだろう。あなた方は空に開いた穴に吠えることになる。私は正気を失っていなければ、それは正気ではないのだ。だからアフォリズムは誰のことも指し示さないまま虚無に帰る。 つまらない手癖のような哀歌を綴ることの痛みを忘れ去るために、正確なリズムで言葉は並べ替えさなければいけない。最良の言葉の最良の配置は最悪の言葉の最悪の配置に勝てるのか。偉大な詩人たちはお

                                                                                  寓意 - 肉芽観察記
                                                                                • 京都在住の元病院副院長、小説で描いた近代の名庭師・小川治兵衛の姿とは|文化・ライフ|地域のニュース|京都新聞

                                                                                  近代の偉人や現代医療をテーマに数々の小説を出版してきた、元近江温泉病院副院長の医師中尾實信さん(83)=京都府京田辺市=が、執筆活動の集大成となる作品を完成させた。物語の主人公は、明治~昭和初期に多数の名庭を手がけた7代目小川治兵衛(1860~1933年、屋号・植治(うえじ))。京都を舞台に一人の庭師が、多くの政財界人らと交わりながら新たな空間美を追求し、激動の時代を

                                                                                    京都在住の元病院副院長、小説で描いた近代の名庭師・小川治兵衛の姿とは|文化・ライフ|地域のニュース|京都新聞