安倍首相が退任会見で自身のレガシーとして挙げたのは雇用の増加でした。労働力調査によると2013年1月から2019年12月にかけて雇用者数は+543万人と大幅に増加しました。しかし、増加の内訳では非正規雇用が全体の67%を占めました。 業種別では医療・福祉が21%でした。同期間で労働参加率が最も上昇したのは55-64歳の女性で、子育てを終えた専業主婦が介護施設などに非正規として勤めることで労働市場に参入したことがうかがえます。 好景気のもとで労働者が積極的に活躍の場を求めたというよりも、男性を中心とした世帯主の賃金が増えない中、税・社会保障負担増加に圧迫される苦しい家計を支えるため女性が働きに出ざるを得なかった姿も見て取れます。 全体の雇用が増えている以上、雇用拡大が安倍政権の実績であることは間違いありませんが、その評価は割り引いて行う必要があります。