【ワシントン=浅井俊典】米連邦最高裁は24日、人工妊娠中絶を憲法上の権利として認めた1973年の最高裁判決を覆し、中絶を規制する法律を容認する判断を示した。国としての統一基準がなくなり、今後は中絶の可否の判断が各州に委ねられることになる。半世紀にわたって守られてきた女性の権利が否定されたことへの米社会の衝撃は大きく、11月の中間選挙で争点となる見込みだ。 最高裁は昨年12月から、妊娠15週以降の中絶を原則として禁止する南部ミシシッピ州の州法が憲法違反にあたるかどうかについて審理していた。今回の判断で最高裁は「憲法は中絶の権利を与えていない」と結論付けた。 米国で中絶は社会を二分する問題。最高裁は73年の「ロー対ウェード」判決で、胎児が子宮外で生存可能になるとされる妊娠24週以前の中絶を合憲と判断し、中絶を女性の権利として初めて認めた。今回の判断は73年判決や過去の類似判例を覆し、「中絶