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極東ブログの検索結果1 - 40 件 / 235件

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極東ブログに関するエントリは235件あります。 政治社会ロシア などが関連タグです。 人気エントリには 『安倍首相の「断腸の思い」は私には伝わった: 極東ブログ』などがあります。
  • 安倍首相の「断腸の思い」は私には伝わった: 極東ブログ

    私は、いちおう述べておけば、自民党支持でもないし、安倍晋三首相の支持者でもない。ただ、それでも、彼を擁護するかに聞こえる発言をしようものなら、それだけで批判されるという昨今のネットの空気も知っているが、これは、書いておこうかと思った。 北朝鮮の国家組織による犯罪行為として、1977年(昭和52年)11月15日に、袋詰と思われる非人道的な方法で拉致された13歳の女子中学生・横田めぐみさんの父、横田滋さんが5日老衰で亡くなった。無念であっただろうと思う。 これを受けて安倍首相は、記者団に対し、思いを述べたのをNHKニュースで私は見た。曰く、「総理大臣としていまだにめぐみさんの帰国が実現できていないことは断腸の思いであり、申し訳ない思いでいっぱいだ」と。涙は流していないが、詰まらせている声はいつも喋り下手ではなく、涙が出そうな感情をこらえているように見えた。もちろん、これは私の主観である。が、彼

    • トランプのゼレンスキー不信の背景: 極東ブログ

      2025年2月28日、ホワイトハウスでドナルド・トランプはウクライナの大統領ウォロディミル・ゼレンスキーと激しく言い争い、会談は決裂した。その場で飛び出したトランプの言葉、「プーチン氏は私と一緒に多くの苦難を経験した」「詐欺師のハンター・バイデン」「民主党のぺてん」は、一見すると脈絡のない怒りの爆発に聞こえる。NHKが全文報道しているので、そこから該当部分を再録する。 トランプ大統領 「どうするも何も、今あなたの頭に爆弾が落ちたらどうするのか。彼ら(ロシア)が破ったらどうなるのかなど、知ったことではない。バイデンと(の合意)なら破るだろう。バイデンへの敬意はなかった。オバマにも敬意はなかった。 私のことは尊敬している。プーチン氏は私と一緒に多くの苦難を経験した。うそっぱちの魔女狩りに遭って、彼とロシアは利用された。ロシア、ロシアと。聞いたことがあるか。詐欺師のハンター・バイデン、ジョー・バ

      • 「正しさ」の罠: 極東ブログ

        現代の社会においてSNS(ソーシャル・ネットワーキング)は、「正しさ」を競い合う巨大な闘技場と化してきた。ある社会問題について「意見」を述べると、即座に賛否両論が飛び交い、それぞれの陣営が「正しさ」を独占しようと激しい論争を繰り広げる。しかしそれらは最初から、まるで予約チケットのように席が決まっているのだ。環境政策をめぐる議論では、「規制強化」か「経済活動の自由」かの二者択一を迫られ、その中間的な立場や別の観点からの提案は、まるで存在しないかのように無視される。教育改革に関する議論でも同様の構図が見られる。「詰め込み教育」対「ゆとり教育」、「STEAM教育推進」対「人文教育重視」といった具合に、複雑な教育の問題がアプリオリに単純な二項対立に還元されている。 厄介なのは、このような状況下では、慎重な判断を示そうとする発言者に対して「立場を明確にしない卑怯者」「問題から逃げている」といったレッ

        • 兵庫県知事選挙雑感: 極東ブログ

          2024年11月17日に行われた兵庫県知事選挙は、これまでの地方選挙の枠を超えた注目を集める選挙となった。不信任決議を受け、メディア的にバッシングされた前知事の斎藤元彦氏が再出馬し、そして民意によって再選を果たすという展開は、政治の混乱とそれに対する市民判断の新しい局面を象徴する出来事となるかもしれない。私は東京都民であり、この話題には関心がなく、メディア報道もSNSの動向も事実上無視していた。しかし、この結果には驚いた。他地域の市民にとっても、この兵庫県知事選挙の結果は地方政治にとどまらず全国的な影響を持つ可能性もあるかも知れない。 今回の兵庫県知事選挙には過去最多となる7人が立候補し、投票率は前回の41.10%から大幅に上昇して55.65%を記録した。高い投票率とも言えるだろう。その背景には、斎藤氏の再出馬をめぐる議論や、候補者間の激しい政策論争が有権者の関心を引きつけたことがある。そ

          • ブログ再開?: 極東ブログ

            長い間ブログを休止していた。この間、大学院生であったという理由が大きい。25歳に最初の大学院を中退し、それから40年かけて大学院修士を終えたという感じだ。10年前の著書には、「もう諦めた」と書いたが、子供が4人成人したのをきっかけに修士に再挑戦した。というわけで2年間、放送大学で大学院生をやっていた。ようやく修論が終わり、取得単位もクリアしたので、今月末には卒業ということになる。 この間、修論研究にけっこう専念していた。コロナ禍もあってか、朝から深夜まで研究ばっかりしていたこともある。加えて、大学院の単位取得もそう容易いということでもなかった。40年前の大学院の単位も復活できるかとも思ったけど、手続きミスがあり、諦めた。結果からいうと、それでよかった。認可待ちしていると、大学院の単位の計算が不確定になっただろう。取得単位という点では、結局、学院を2つ出たような感じだが、あれだなあ、学問の風

            • AIと人間の共生における知能の退化は避けられないだろう。: 極東ブログ

              ジェフリー・ヒントンの警告 AIと人間の共生における知能の退化は避けられないのではないだろうか。ジェフリー・ヒントンのエピソードから話を切り出したい。2024年にノーベル物理学賞を受賞したヒントンは、AIの安全性や人間の知能の衰退に対する深い懸念を示していた。彼は、教え子でもあるサム・アルトマンが主導するOpenAIが営利目的に傾倒し、AIのリスクを軽視していると批判し、その危険性を強調した。彼の懸念は、AIが持つ高度な操作能力が人間の心理に深刻な影響を与え、人々がAIに依存しすぎることで、自らの意思決定能力や批判的な思考力が失われることにあった。 この懸念は、単なる技術のリスクにとどまらない。AIの進化によって、私たちの社会がどのように変貌し、私たち人間自身がどのように変化していくのか、より深い問題に根ざしている。特に「AIと人間の共生」というテーマを考えるとき、そこには大きなリスクとし

              • 米国とウクライナの決裂: 極東ブログ

                トランプ米大統領は米国時間の2月28日、ウクライナのゼレンスキー大統領とホワイトハウスで会談し、ウクライナの鉱物資源の権益に関する合意文書に署名する予定だったが、渦中で厳しい口論となり、会談は決裂した。合意文書には署名されず、共同記者会見も中止となり、ゼレンスキー大統領はホワイトハウスから追い出された。 まず、口論の流れをまとめておこう。 発端:バンス副大統領とゼレンスキー氏の対立 状況: 記者からの質問でトランプ氏がロシアとの関係性について問われた後、バンス副大統領がバイデン政権の対ロ政策を批判し、「平和への道は外交かもしれない」と発言。 ゼレンスキー氏の発言: 「感謝はしています。しかし、あなたが話す『外交』とは何ですか? プーチンはミンスク合意を破り、2014年に我々の東部とクリミアを占領しました。オバマ、トランプ、バイデン、そして今またトランプ大統領と、アメリカの大統領は変わりまし

                • 安倍首相、辞任へ: 極東ブログ

                  安倍首相は、5時の記者会見で辞任する意向を正式に表明した。理由は、難病の潰瘍性大腸炎が再発したことだ。 難病の多くは寛解期と発作を繰り返す。寛解が長引き、自然寛解となることもある。私の場合は多発性硬化症だが、自著にも書いたが定期的な通院でコントロールしている。とはいえ、毎年誕生日を迎えるころの炎天下の日々にはきつい発作が起きる。この数年は安定しているから、なんとか乗り切れるかとも思った。が、その矢先、暗澹たる発作があった。幸い、短期に安定した。 難病の多くは、安定していると、傍からは、健康そうではないか、と見られる。このあたりの感覚はなかなか通じないものだと思う。立憲民主党の石垣のりこ参院議員は、安倍晋三首相の難病・潰瘍性大腸炎の再発理由での辞任表明に対して、Twitterで「大事な時に体を壊す癖がある危機管理能力のない人物」と投稿し、多くの層から批判を受け、立憲民主党の党側からも批判を受

                  • ドイツ経済の悪化と政府の失策: 極東ブログ

                    ドイツ経済は今、以前の安定した成長から停滞へと変わり見通しが悪化している。2024年の成長率は-0.1%と予測されており、これは前年に続く二年連続のマイナス成長である。ドイツのキール世界経済研究所は、成長予測を引き下げており、政府や企業に対する不信感が高まっている。このままではドイツの経済基盤が弱まり、国際競争力がさらに低下する。 ドイツ経済の鈍化原因 政府は当初、2024年の成長率を0.4%と見込んでいたが、最近の予測では成長が止まると発表した。キール世界経済研究所は成長率が-0.1%になると見ており、これでドイツは二年連続でマイナス成長になると予測している[1]。また、2028年までに税収が5,810億ユーロ(約9.5兆円)も下振れすると見られており、経済の不安が税収の減少に直結している[2]。税収が減ることで、インフラ整備や公共サービスにも悪影響が出て、さらに成長を妨げる要因となる。

                    • VOAは消えてしまうのか?: 極東ブログ

                      「アメリカの声(Voice of America、以下VOA)」が危機に瀕している。2025年3月、トランプ大統領の命令により、VOAの全スタッフ約1,300人が職場から締め出され、放送停止の瀬戸際に立たされているのだ。VOA側の公式アナウンスはまだなものの、ディレクターのマイケル・アブラモウィッツはフェースブックの個人声明で嘆いている。「私は深く悲しんでいる。83年ぶりに、歴史あるVOAが沈黙させられた」と。日本でも英語学習や国際ニュースの窓口として親しまれてきたVOAが、今、存亡の危機にある。私は言語学に関心を寄せるものとして、VOA英語の簡易性とその教育的価値に深い愛着を持っている。VOAは、国際政治的に見れば、報道機関というよりプロパガンダ機関と呼べるかもしれないが、その価値は英語教育、米国的価値の普及、娯楽性、そして言語学的視点からも際立つものだ。 アブラモウィッツの悲嘆 事態は

                      • 日本の子供が自分を不幸だと感じているのはもしかして……: 極東ブログ

                        ユニセフは3日、38か国を対象に7年ぶりに実施した子供の幸福度調査を発表した。それによると、日本は38か国中20位。他方、健康分野では1位だった。というニュースが流れた。どうやら、日本の子供は身体的には健康だけど、精神的には幸福ではない、ようだ。 というわけで、教育評論家の尾木直樹氏はブログでこう言っていた(参照)。 このパラドックス(逆説)は何を意味するのでしょうか? ② 最大の要因は日本の学校における『いじめ地獄』です、海外の研究によると50歳になっても社会的、経済的影響は残り人生そのものを幸福にしないようですから重大事態ではないでしょうか? へえと思った。前回2013年の調査では、31か国を対象にし、日本は全体で6位だった。つまり、対象国が増えたとはいえ、7年間で6位から20位に転落したのは、この間、特段に「いじめ地獄」が進んでいないと、尾木説は矛盾する。まあ、矛盾しているだろう。調

                        • バイデン政権という汚点: 極東ブログ

                          バイデン政権はひどいものだったなあという印象が強いが、なかなか主要メディアは口を拭ってるものだと思っていた。が、BBCにそれなりの記事が掲載されていた(参照)まあ、そうだろう。それを参考に書いておきたい。率直にいって、老化したトランプ次期大統領もこうなりかねないのだから。 2025年初頭、ホワイトハウスの記者会見場でのバイデン大統領の姿は、歴史に残る象徴的なものとなった。言葉に詰まり、視線を彷徨わせる瞬間が繰り返され、聴衆の中に沈黙と不安が広がった。かつてオバマ政権時代に副大統領を務め、熱意ある演説で国民を鼓舞した「巧みなコミュニケーター」としての面影は、無惨なほどそこにはなかった。 バイデン氏の「年齢の影響」という疑念は、すでに2023年の大統領選テレビ討論会で最高潮に達していた。共和党候補として再出馬したトランプとの対決は、かつての「トランプvsバイデン」の再現として注目を集めたが、結

                          • 米国民主党の騒がしい日々: 極東ブログ

                            2024年の大統領選挙において、民主党は、あれから8年ということか、再び「自己崇拝」の罠に陥り、壮大な内紛を展開している。選挙戦の最終段階になってようやく党内で激しい議論が繰り広げられ、資金の使い方や広告戦略の失敗、そしてリーダーシップの欠如について多くの異論が噴出した。誰が責任を取るべきかについても各派閥で意見が分かれ、明確な合意が得られない。まあ、得られるわけもないが。このような内部の対立はメディアにも取り上げられ、民主党内の結束がいっそう揺らぐ結果となる。内部対立は深刻化する。民主党やその支持者は自らを「知的で正義」とか「公平で倫理的」とか見なし、他党との差別化を図ってきたが、その結果として内部で愚かな争いを続け、ドタバタを招いている。このような矛盾した行動は誰の目にも明らかであり、まさに、ありがちな滑稽さが浮き彫りとなった。 民主党じゃないだろのバーニー・サンダースは、民主党が労働

                            • 新型コロナ流出説が「陰謀論」とされたのか: 極東ブログ

                              2025年3月18日、WHOがCOVID-19をパンデミックと宣言してからちょうど5年が経過した。約700万人の命が失われ(WHO推定、2025年3月)、世界は未だにその起源を巡る議論に決着をつけられずにいる。2025年1月26日、CIAが「低確信度ながらラボ漏洩説を支持」と発表したが、その後新たな証拠はなく、既存データの再分析に留まっている(NBC News、2025年1月27日)。しかし、この発表は、初期に「陰謀論」と排除されたラボ漏洩説が再評価される流れを示していることは明らかだ。なぜ当初、流出説は排除され、情報隠蔽が起きたのか。 コロナ禍初期:情報隠蔽の兆し パンデミックが始まった2020年初頭、関連情報の混乱が広がった。2020年2月、武漢で発生したウイルスが世界に広がる中、起源に関する議論が過熱し、自然発生説(動物市場起源)とラボ漏洩説(武漢ウイルス研究所からの流出)が浮上した

                              • ウクライナを排除した米露和平交渉: 極東ブログ

                                2025年2月18日、サウジアラビアの首都リヤドで、米国とロシアの政府代表団による直接交渉が行われた。表向きの議題はウクライナ戦争の終結に向けた「和平交渉」だったが、最も重要な当事者であると主張するウクライナは交渉の場から排除された。この決定は、戦争の膠着状態と欧米の支援疲れを背景に、米露が現実的な解決策を模索し始めたことを示している。 ウクライナのゼレンスキー大統領は、「我々抜きで和平を決めることはあり得ない」と強く反発したが、トランプ米大統領は「ウクライナは3年間も交渉の場にいたのだから、もっと早く戦争を終わらせることができたはずだ」と批判した。ロシアのプーチン大統領も、「ゼレンスキー大統領はもはや正当な指導者ではない」とみなし、ウクライナの新たな選挙を和平の前提条件として提示した。これに対し、ウクライナ政府は「戦時下での選挙は現実的でない」と反論し、ロシアの要求を拒否してきたが、米国

                                • 新しい「男性」の誕生: 極東ブログ

                                  人類の性別を決定するY染色体が、遠い将来に消えるかもしれないという話は、生物学の分野では長年囁かれてきたが、その未来は何千も先のことにも思われていた。しかし、それが思ったよりも早く訪れていた。現状、報告される事例はごくわずかだが到来している。しかし、想定されていた事態とは異なり、男性が消滅するのではない。その逆である。Y染色体がなくても「男性」を作り出す仕組みが、すでに一部の人類に現れつつあるのだ。この発見は、しかし、予期はされていた。鍵を握るのは、奄美大島に生息する小さなネズミ、アマミトゲネズミである。 Y染色体の退化:人類の危機か進化か? 基本からおさらいしておこう。人間の性別は、23対ある染色体のうち、性染色体によって決まる。女性はXX、男性はXYという組み合わせだ。このうちY染色体には、性決定遺伝子「SRY」(Sex-determining Region Y)が存在し、これが胎児の

                                  • トランプ関税の90日間停止: 極東ブログ

                                    2025年4月10日、トランプ大統領が発動したばかりの「相互関税」をわずか24時間で一部停止するという発表が世界を駆け巡った。停止期間は90日間とされ、日本やEUが対象に含まれた。この急転直下の動きは、トランプの貿易政策がもたらす不確実性と、同盟国との関係の複雑さを改めて浮き彫りにしている。 事の発端は4月9日、トランプが米国への輸入品に対して一律10%の関税を課す「相互関税」を発動したことだ。特に自動車関連には25%という高い税率が設定され、対象国には日本、EU、カナダなどの同盟国も含まれていた。具体的な税率として、イギリスには10%、EU全体には20%、日本には24%が課されたとされる。この差別的な税率設定は、特に日本に対する厳しい姿勢を示しており、トランプが日本を「経済的な脅威」と見なしつつ、「押さえつけられる相手」と軽視している可能性を浮き彫りにした。 発動直後の市場の反応は激しか

                                    • トランプ次期米国大統領はウクライナ戦争を終結させないだろう: 極東ブログ

                                      ジョン・ミアシャイマー教授が、12月12日、「グローバルピースTV」(参照)でウクライナで進行中の戦争を終わらせるトランプ大統領の可能性について分析していた。私はトランプ次期米国大統領がこの戦争を終結してくれるのではないかと期待していたが考えを改めるべきだろうと思った。以下、ミアシャイマーの見解をまとめておく。 トランプ大統領が、ウクライナという問題領域が米国の外交政策を根本的に変えることになるだろうと発言したことは間違いない。彼はすぐに紛争を終わらせると言っているが、すぐに終わらせるとは思えない。彼は善意を持っているかもしれないが、それは起こらない。その理由は、彼がプーチンが示したこの紛争を解決するための条件を受け入れなければならないからであり、どの米国大統領もそれを決して受け入れないだろうと思っている。 具体的には、プーチンは交渉を始める前に、これは和平合意をまとめるための交渉を始める

                                      • 欧州からの米軍撤退の可能性: 極東ブログ

                                        ドナルド・トランプが再びアメリカ合衆国の大統領に就任して以来、特に、2月28日のトランプ米大統領とゼレンスキー宇大統領の口論による関係の齟齬の後、欧州指導者たちは神経を尖らせている。Fox Newsが3月2日に報じたように(参照)、バイデン政権下でロシアのウクライナ侵攻(2022年)に対応して増派された約2万人の米軍が撤退する可能性が浮上し、NATOの安全保障体制がかつてない試練に直面している。 現在の米軍駐留数は、Center for Strategic and International Studies(CSIS)のデータによれば7.5万~10.5万人と変動しており、この2万人の撤退は全体の20%近くを占める規模である。欧州の指導者たちは、トランプの「米国第一主義」やロシアへの友好的な姿勢を警戒し、彼が予測不能な形で軍事プレゼンスを縮小するのではないかと恐れている。 この問題は単なるト

                                        • シリア崩壊とイスラエル: 極東ブログ

                                          2024年12月9日、バシャール・アル・アサド政権が崩壊し、イスラム主義勢力「ハヤート・タハリール・アル・シャーム」(HTS)がダマスカスを掌握した。この出来事は、シリア内戦の終局を象徴するとともに、中東地域全体の地政学を根本的に変える転機となった。 シリア内戦は2011年3月、アラブの春の影響を受けて始まった。アラブの春とは、2010年末に北アフリカや中東諸国で発生した民主化を求める抗議運動であり、シリアでは反政府デモの拡大につながった。この内戦は、アサド政権と反政府勢力の間で長期にわたる戦闘を引き起こし、ロシアやイランなどの勢力が介入する複雑な争いに発展した。 当時のオバマ政権は、シリア内戦初期に慎重な姿勢を取った。2013年、アサド政権による化学兵器使用が発覚した際、「レッドライン」発言で軍事介入を示唆したが、実行には至らなかった。この決定はアメリカの信頼性を損ね、ロシアとイランがア

                                          • 情報環境の変化と市民の選択: 極東ブログ

                                            先日の兵庫県知事選挙や米国大統領選挙の結果に違和感を持つ人々が増えている。そして、その原因としてSNSやYouTubeなどのスマホベースのメディアが批判されることが目立つ。若者が新聞を読まず、正しい情報が広まらないことが選挙結果に影響しているという主張である。一方で、それに真っ向からの反論もある。既存メディアも偏見に満ち、真実を伝えていないというのだ。このような対立は、なにか、この問題の重要な部分を捉えていないように思える。 現代の情報環境 SNSやYouTubeは情報を即時に広範囲に共有できる点で非常に便利であると言っていい。私自身そのなかにすっぽりといる。世界中の出来事やニュースを瞬時に知ることができるという点では、旧来メディアとは変わりないが、その面では、SNSやYouTubeで二番煎じのことが多い。むしろ、旧来メディアでは知ることのできない、奇妙ともいえるディテールがわかることがあ

                                            • ウクライナ戦争における米国の関与について: 極東ブログ

                                              ウクライナ戦争における米国の関与について、米国時間3月29日のニューヨーク・タイムズにジャーナリストのアダム・エントゥスが『パートナーシップ:ウクライナ戦争の秘密の歴史 (The Partnership: The Secret History of the War in Ukraine)』(参照)と題する、ほぼ一冊の本に匹敵するほどの詳細な記事を公開し、この問題に関心を寄せる人々で大きな話題となった。記事は、ウクライナ、アメリカ、イギリス、ドイツ、ポーランド、ベルギー、ラトビア、リトアニア、エストニア、トルコの政府、軍事、情報機関の関係者と1年以上にわたり、エントゥス氏が300回以上のインタビューを実施してそれをもとに書かれたものである。いずれ日本語で正式な全文が書籍などで出版されることになるだろうが、すでに国際水準でウクライナ戦争を考察する人々にとっては常識になっているので、ここでも今後

                                              • 核兵器廃絶運動の課題: 極東ブログ

                                                2024年のノーベル平和賞は日本の核兵器廃絶運動に大きな希望の光を当てた。しかし、その栄誉が果たして現実に即したものであるかどうかについては、疑問の声も上がっている。核兵器廃絶は確かに人類の理想であり達成すべき目標であるが、その過程において様々な団体がそれぞれの立場を持ち、運動はしばしば分裂と対立に満ちた歴史があったことは、現在日本では忘却されやすい。この背景には、国際政治の複雑な駆け引きや核抑止力に対する日本国内の多様な見解が存在する。 核兵器廃絶運動の歴史 核兵器廃絶運動は1954年の第五福竜丸事件を契機に始まった。米国のビキニ環礁での水爆実験により被曝したこの事件は、日本国内における反核の機運を高めうことになった。1955年には「原水爆禁止世界大会」が広島で開催され、翌年には「日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)」が結成された。被団協は、広島・長崎の被爆者を中心に結成され、核兵器

                                                • 石破茂首相が提唱する「アジア版NATO」構想: 極東ブログ

                                                  石破茂首相が提唱する「アジア版NATO」構想は、それがパーティー・ジョークの類でないとするなら、日本の安全保障政策における大きな変革を目指しはしているし、御本人としては、存外に当面、いたってその気なのかもしれない。いずれにせよ、打ち出されてしまったこの構想は、大国・日本の将来に関わることなので諸外国に独特の印象を与えるだろう。アジア地域における集団的防衛体制を構築し、中国の台頭や北朝鮮の脅威、そして台湾を巡る緊張に対応することを目的としているとも受け止められる。欧州におけるNATO(北大西洋条約機構)をモデルに、アジアでも同様の安全保障の枠組みを形成するというこの提案は、米国や中国、ロシア、ASEAN諸国をはじめとするアジア各国からもそれなりの反応を引き起こすだろう。その際、NATOの現状やその抱える問題も、アジア版NATOの実現可能性を考える上で重要な示唆を与えてくれる。 まとめ 石破茂

                                                  • 米国教育省の解体: 極東ブログ

                                                    2025年3月20日、ドナルド・トランプ米大統領はホワイトハウスで、子供たちに囲まれた象徴的な場面で、米国教育省(U.S. Department of Education)の解体を命じる大統領令に署名した。この瞬間は、トランプの選挙公約であると同時に、共和党保守派が40年以上にわたり夢見てきた「小さな政府」の実現を象徴する出来事だった。トランプは「我々はできるだけ早く閉鎖する」と宣言し、教育省を「驚くべき失敗」と断じ、その予算と権限を州に戻すと約束した。署名から翌日には、約4,400人の職員のうち2,100人が休職に追い込まれ、実質的な機能縮小が始まった。 この動きは、単なる行政改革ではない。教育省が管理する学生ローンや低所得者向け支援(タイトルI、ペル・グラント)の将来に不安を投げかけ、すでに訴訟が提起されるなど、激しい政治的対立を引き起こしている。しかし、完全な閉鎖には議会の承認が必要

                                                    • 無意味な暗記と昔のこと: 極東ブログ

                                                      この夏、64歳になった。父が62歳でなくなっていて、その姿を老いに思っていたのだから、それからさらに2年近くも生きている自分が奇妙な気もしないでもないが、親族には90歳近く生きる人もいるし、思えば父の父、私の祖父、そして曽祖父も長寿な人であって、父も長生きするつもりでいたのだろうと思う。 自分はというと早世すると信じていたので、長く生きたものだ。人生を振り返ってもいい時期には達しているせいか、そんなことを思うのだが、実際に思うのは存外に些細なことが多い。その一つが無意味な暗記である。なんとなく暗記しているが、それになんの意味があったんだろうかという奇妙な感じのするあれである。 具体例。私は般若心経を暗記している。260文字なので暗記しようと思えば暗記できるものではなかろうか。というのを16歳のころ思って暗記した。ついでに観音経の偈文も暗記したのだが、途中で飽きた。理由は簡単で、事実上無意味

                                                      • ソ連崩壊の主原因は何か?: 極東ブログ

                                                        ソ連崩壊の主原因は何か? ちょっと考えさせられることがあったので、再考してみた。話の枕に、ネットを検索してみた。 Wikipediaを見ると、日本語版には「ソ連崩壊」の項目があるが、経緯をメモ書きしただけで、原因についての言及はなかった。英語版は充実していた。が、経緯が詳細なだけで、原因考察はなかった。考えてみるに、Wikipediaって、なぜ?に答えるものではない。 『世界雑学ノート』というサイトが2位にヒットした。いわゆる一般向け解説サイトのようである。それによると、「原因の一端は、ゴルバチョフが小規模な改革を繰り返すにとどまり、抜本的な経済見直しを実行できなかったことにあります」とある。同時代を生きた自分でもそんな印象はある。 『世界平和アカデミー』というサイトも比較的上位にあった。内的要因と外的要因を分け、内的は①ゴルバチョフ書記長の登場、②民族主義の高揚、③エリツィンの登場、④反

                                                        • 「# 検察庁法改正案に抗議します」が理解できなかった: 極東ブログ

                                                          私のようなのんきなブロガーでも、昨日の朝、降って湧いたようにTwitterで、「#検察庁法改正案に抗議します」というタグが広がっているのを知った。印象としては、自然な市民の声というより、9日の夜に事実上組織的な仕込みがあったんじゃないかという不審な感じがした。しかし、それはそれとして、何の騒ぎなのか当の問題点を理解しようとしたのだが、よくわからなかった。合わせて、政府が示した三権分立の図は間違っている、といった話題が付随していた。が、こちらのような概ねくだらない騒ぎと見てよいようだった。 重要なことは、検察庁法改正案の問題点を理解することだが、自分なりに一次情報(閣第五二号 国家公務員法等の一部を改正する法律案)に当たってみたのだが、皆目わからない。率直なところ、私のような凡庸な市民にはわからない性質かなと思った。その後、この運動の盛り上がりに付随する説明などを読みながら、もにょった。 ま

                                                          • アフリカの安全保障と資源開発に関わる国際政治: 極東ブログ

                                                            アフリカは近年、世界の大国にとってますます重要な、そして物騒な舞台となっている。豊富な資源や地政学的な位置は大国の関心となる大きな要因だが、その背後には安全保障や経済的利益が複雑に絡み合う。背景には、アフリカ諸国が、実態としては、各面において依然として発展途上という状態にあり、インフラや産業基盤が脆弱であるという現実がある。このため、外部からの支援や投資が必要とされる一方で、依存関係を生みやすく、政治的、経済的な主権が揺らぐリスクも高まっている。 こうしたなか、世界の大国、特に米国、中国、ロシアは、アフリカへの関与を強めており、それぞれが異なる戦略を通じて自国の利益を追求し、当然の帰結として、さらなる「問題」を引き起こしている。 まとめ 米国は安全保障を軸にアフリカで影響力を行使しているが、経済的な関与は控えめである。 中国は「一帯一路」構想を通じてインフラ投資を進め、経済的プレゼンスを強

                                                            • Google Geminiの気持ち悪さ 1.0: 極東ブログ

                                                              近年、人工知能(AI)技術は私たちの日常生活に深く浸透し、その存在感を増している。しかし、AIアシスタントであるGoogle Geminiにおいて浮き彫りとなった問題は、AIと一般社会との間に新たな溝が生じていることだ。AIが単純な事実確認の質問にさえ適切に応答できない状況が発生していて、それを自然に受け入れさせようとしている。莫迦なの氏ぬのと言いたいくらいだが相手はAIだ。 AIの自己規制がもたらす弊害 GoogleのGeminiは、たぶん、きっと、最新鋭のAI技術を結集して開発されたシステムであるんだろうが、特定のキーワードやトピックに対して過度に慎重な姿勢を示している。例えば、「衆議院議員の過半数は?」という純粋に数値を確認するだけの質問に対しても、「選挙または政治家に関する回答には対応できません」という画一的な返答を返してくる。はあ? この応答制限は、AIシステムの根幹に関わる深刻

                                                              • 横田めぐみさんは、なぜ北朝鮮に拉致されたのか?: 極東ブログ

                                                                横田めぐみさんのお父さん、横田滋さんが亡くなり、世の中の話題が少し拉致問題に焦点を当てるようになり、ふと、以前、若い人に、横田めぐみさんは、なぜ北朝鮮に拉致されたのか?と問われたことを思い出した。 横田めぐみさんは、なぜ北朝鮮に拉致されたのか? どう答えたらよいのだろうかと戸惑った。戸惑った一番の理由は、私が、その問いの解答を知らないからだ。だから、私は、「知らない」と答えるべきかと思った。それも誠実ではあるだろう。ただ、昭和という時代に生きた私は、知っているとは言えないが、思い当たることはいろいろある。それを語るべきだろうかと、戸惑いが広がった。 こう答えたと思う。「本当の理由はわからない。ただ、私が思う理由を話していいかな」それに肯定的だったので、こう答えた。「日本語教師にするためだと思う。」 もちろん、この答えでは疑問が続く。「なぜ北朝鮮は日本語教師を必要としたのか。なぜ拉致なんてし

                                                                • 2024年の衆議院議員総選挙はひどいものだったなあと思った: 極東ブログ

                                                                  2024年の衆議院議員総選挙はひどいものだったなあと思った。一市民の自分の視線から見ると、まるで投票意思を失わせるような候補者が数人いるだけである。もちろん、自民党候補はいる。どこにもいる。共産党候補と似たようなものだ。で、自民党候補に入れるか。無理。自分は自民党支持者ではないが、自民党の政策にあまり反感はない。というか、今回の「裏金」問題は、すでに述べたが、些細な話でくだらないなと思っている。だが、この自民党候補に票を入れるのは、個人的に相当に抵抗感がある。無理というくらいある。細かくいうと語弊があるが、無理無理。では野党候補かというと、それもげんなりする顔ぶりである。じゃあ、比例代表だけでも投票するかと思ったが、これも、特段支持政党はない。支持したくない政党はあるよ、立民党とかれいわとか、参政党とか公明党とか、まあ、つまり、ほぼ全部。 ひどい選挙になるなあと予想はしていたが、さすがに自

                                                                  • あえて勧める5つのユーミンの歌: 極東ブログ

                                                                    ネットは言論の場としては、けっこうひどいところだ。私も長くブロガーやっているし、いただく反応のなかにも、ひどいこと言うなあというものがある。匿名で誹謗する人が多いが、匿名と限らないし、大学の先生だったりすることもある。ということを確認させられたのが、ユーミンに寄せられた罵倒で、「荒井由実のまま夭折すべきだったね。本当に、醜態をさらすより、早く死んだほうがいいと思いますよ。ご本人の名誉のために」というのが、ネットで話題になっていた。 村上春樹もそうだが、ユーミンも、初期作品や中期作品で強固なイメージが作られてしまい、最近の佳作があまり理解されない。特に、ユーミンはそうだなと思う。私にしてみると、ユーミンが長くシンガーソングライターを続けてくれることで、老いと恋の苦悩の美しい曲が聞けて、幸せだなと思う。 そんな曲を5つ紹介。ユーミンを語るなら聞いてほしいなとも思う。 「もうここには何もない」

                                                                    • ロシア制裁の「抜け穴」: 極東ブログ

                                                                      ロシア制裁には「抜け穴」がある。ロシアがウクライナに侵攻してから3年が経過した2025年2月24日時点で、西側諸国はロシア経済を締め付けるため、かつてない規模の経済制裁を展開してきた。米国は2022年3月にロシア産石油の輸入を全面禁止し、G7諸国も石油や天然ガスの取引に厳しい制限を設けた。しかし、ロシアは2024年だけで化石燃料輸出から2420億ユーロ(約2538億ドル)の収益を上げている。これは、戦争前の2021年の1991億ドルを大きく上回る数字だ。制裁が機能しているどころか、ロシア経済はむしろ潤っているように見える。ロシアに制裁を与えるはずなのに、そのガソリンや暖房が、知らず知らずのうちにプーチン政権の戦争を支えている。 この逆説的な状況の裏には、ロシア制裁の「抜け穴」が存在するからである。インド、トルコ、中国といった制裁に参加していない国々が、ロシア産原油を大量に購入し、それを精製

                                                                      • 2024年衆議院議員総選挙後の国民民主党への懸念: 極東ブログ

                                                                        2024年の衆議院総選挙で、自民・公明の連立与党は単独過半数を失い、国民民主党がキャスティング・ボートを握ることとなった。自民党は191議席(前回から57議席減)、公明党は24議席(前回から8議席減)を獲得したものの、与党合計の215議席では過半数の233議席に届かず、28議席(前回から21議席増)を得た国民民主党の協力なしには政権運営が困難な状況に陥っている。一方、野党では立憲民主党が148議席(前回から52議席増)、日本維新の会が43議席(前回から2議席増)、れいわ新選組が9議席(前回から6議席増)、日本保守党が2議席(新規)を獲得している。立憲民主党もまた与党以外の勢力をまとめたいところだが、基本的に左派政党である同党が右派的な政党をまとめることは難しい。なにより今回の選挙は、懐かしい昭和時代的な左派ポピュリズムの結果でもあり、これを裏切るような動きを同党は取れないだろう。 だが、今

                                                                        • 2020年を振り返って: 極東ブログ

                                                                          ブログは久しぶりになる。この間、ほとんど日々ツイッターでなにかしらつぶやいていたので、多少なり私に関心ある人がいても私の健在は伝わっていたかと思う。ブログを実際上休止していたのは、ブロクを書く気力がなかったことと、来年に向けて準備を進めていることに注力したかったからだ。後者についてはだいたい準備は終わった。来年の方向も見えてきた。何をするかというと、少しアカデミックな研究をしたい。世の中は「独学」がブームのようでもあるし、私も独学的な人であるが、できるだけそうではない方向になるだろう。 今年を振り返って、もう一つ私事の方向転換で次に心にかかっていたことは、現実に私を取り巻く人々の関連でもあるが、簡単に言えば、4人もいる子育てにそろそろ終止符を打ち、老後の人生に向かうことだ。この夏、63歳の誕生日をきっかけにいくつか年金書類の申請をした。自分が老人になったのだと思った。 さて、このブログにも

                                                                          • もし、緊急事態宣言がなかったらどうなっていたか? (追記あり): 極東ブログ

                                                                            もし、緊急事態宣言がなかったらどうなっていたか? 最初に明確なことがある。私にはわからないし、私には強い主張はないということだ。しかし、ある程度確かな典拠から推測できることはあるので、ブログにいち市民の歴史証言として記しておきたい。 その「ある程度確かな典拠」となるのは、政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が 5月14日に発表した「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(参照PDF)での以下のグラフ「全国の実効再生産数 P4 発症日データを用いた推定、P5 発症日を特定できない感染者も含めた推定」である。 グラフで示されていることは次のとおり。「黄色の棒が感染時刻(日)別の推定感染者数であり、青の実線が推定された実効再生産数であり青の影が 95%信用区間を示す。感染から報告までの遅れの 80 パーセンタイルを考慮して全国では4月29 日以降、各地域では4月 30 日以降の推

                                                                            • [書評] 戦後フランス思想(伊藤直): 極東ブログ

                                                                              私は66歳にもなって自分を大人気なく思う。本書『戦後フランス思想』を読んで、ああ、こういう解説は簡素によくまとまっているけど、あの時代の日本の空気が感じられないなあ、と思ってしまった。ということを書くのも、大人げないが、本書はそんな郷愁をもたらした。と、いうのも、あまり正確ではない。後で触れるが、本書は実はとても現代的でもある。 もう少し、大人げない話をしたい。本書を読みながら、十代の自分が今も自分の中にいることに気がつく。アルベール・カミュは私の少年期そのものだったからだ。なんかもう自殺しようかなと思っていた中二の私は、確か、白井浩司の書いた、フランス哲学風人生論で、カミュを知った。曰く、『シーシポスの神話』を読みなさい、というのだった。読んだ。哲学の問題は今、自殺するかしないかだとする、本書にも引かれているが、その基調は、中二の心を掴んだ。不条理(なんですかコレという笑っちゃうね状況)

                                                                              • 『クローズアップ現代』「ロシア “死の経済“の実態」批判: 極東ブログ

                                                                                2025年2月5の『クローズアップ現代』が報じた「ロシア “死の経済“の実態」は、ロシア経済が戦争によって回り、戦場での死が経済の一部として組み込まれているという視点を示したものであった。貧困層が高額な報酬に惹かれて戦場に向かい、戦死することで遺族が多額の補償を受け取るという構図が描かれ、「戦争経済がロシア社会を蝕んでいる」と批判していた。確かに、ロシア経済の軍事依存度が高まり、戦争が国家財政に大きな影響を与えていることは事実であろう。しかし、本「戦争によって経済が回る」構造をロシアだけに限定し、まるで特殊な異常事態であるかのように扱っている点には、どうしてもプロパガンダ臭を感じた。 同番組ではロシア経済が制裁によって疲弊しているかのような印象を与えるが、実際にはロシアはBRICSを中心とした非西側諸国との経済連携を強化し、その恩恵を受けている。たとえば、ロシアの対中国貿易は2023年には

                                                                                • 静かなカタストロフの予感: 極東ブログ

                                                                                  先日、塩漬け株を処分した。バブル崩壊以前から抱えていた。死んだ父にまつわる思い出のある株で、損切するも嫌になるようなものだった。気がつくと、自分は父の享年を超えていた。いつか処分するはずが、ずるずると踏ん切りが付かなかった。 損切なので大した額になるわけでもないが、さらにどん底になるものもいやだなとは少し思った。そう、どん底が来るなと思った。我ながら、老いて、バブル崩壊もリーマンショックも経験した。あれクラスのが、もうすぐドカンと来るなあという予感がする。 誤解なきよう。個人的な、なんの裏付けもない予感だ。もうすぐこの世が終わり、最後の審判になると信じている人と似たようなものだ。狂気に近いかもしれないな。 なので、この予感を多くの人に共有してもらいたいということではない。幸い、あまり人が省みることのないブログに成り果てたので、気楽に書いてみたい。 先日の散歩で、普段そう通ることもない路地の

                                                                                  新着記事