日本では広く採用されている「メール添付ファイルのZIP暗号化」はセキュリティ的にはほとんど意味がないことをご存じだろうか。そればかりか「受け手の体験を損ない、社会の効率を下げる行為だ」と指摘するのは、マイクロソフトやグーグルでエンジニアとして活躍し、現在は複数の企業で技術顧問を務める及川卓也氏だ。及川氏が、相手のユーザー体験、社会全体の効率化を考える必要性を説く。 ● 添付ファイルのZIP暗号化だけでは セキュリティ的には意味がない 企業にとって、重要なファイルを外部と共有する際に、その内容を第三者の誰かに盗み見られないようにすることは、取引上の機密やコンプライアンスを守るためにも、個人情報保護などの観点からも不可欠です。そのための漏えい防止策のひとつとして、メールで送付したいファイルを「パスワード付きの暗号化ZIPファイル」に加工してから添付して送信するという方法が、日本ではよく採用され